V長崎 首位で中盤戦へ 「逃げ切り」態勢築けるか

【第11節、V長崎-群馬】この試合の初ゴールから直近4試合で3発と好調なV長崎の畑。前線の定位置争いを活性化させている=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 明治安田J2リーグは全日程の3分の1にあたる第14節までを消化。V・ファーレン長崎は10勝2分け2敗(勝ち点32)で首位に立っている。チームが掲げていた「先行逃げ切り」でのJ1切符獲得に向け、まずは「先行」に成功した形だ。ただ、10勝のうち、7勝が1点差と楽に勝った試合は少ない。浮かび上がった課題を修正して「逃げ切り」態勢を築けるか。次節からは昇格争いを一歩リードするための大事な中盤戦に突入する。

■誰が出ても

 V長崎は4勝1分けとした第5節琉球戦から単独首位を維持している。2位北九州が目下8連勝中と破竹の勢いを見せているが、V長崎も譲らずに、ここ2戦は勝ち点差「1」を堅持。3位徳島と「5」、4位以下と「10」の差がつき、徐々に今季の勢力図が固まりつつある。
 好調な要因の一つに、誰が出ても機能する攻撃のコンビネーションが挙げられる。チーム総得点は22で、得点者は実に14人。直近の第14節も吉岡、澤田が初ゴールを決め、これで今季ピッチに立ったフィールドプレーヤー21人中、3分の2の選手にゴールが生まれた。2列目、3列目の選手が積極的に攻撃参加し、小気味いいパスワークからゴールを陥れている。

■賢くプレー

 試合を重ねる中で「ゲームコントロール力」(手倉森監督)という明確な課題も見えてきた。第2節北九州戦、第8節山口戦、第11節群馬戦、第14節水戸戦はいずれも勝利こそ収めたが、先制した流れを保てずに失点。思うように体力を温存できず、勝ち点の割に得失点差を伸ばせていない一因にもなっている。
 指揮官は「連戦で大変なシーズン。体力をうまく使わないと、次の2、3戦目に響いてくる。いかに勢いを受けないような試合運びをできるか。攻守両面で賢くプレーしないといけない」とチーム成熟の必要性を説く。
 一方でアウェー戦の苦手意識を、序盤戦のうちに克服できたのは好材料。第10節徳島戦、第12節山形戦は精彩を欠いてアウェー2連敗を喫したが、第14節水戸戦は内容面も含めて改善。勝ち点3を持ち帰ることに成功した。
 9、10月は計14試合が組まれ、そのうち10試合がアウェー戦。敵地の不安を払拭(ふっしょく)できたことをモチベーションに、持ち味の「誰が出ても機能する攻撃」を継続して、課題の「ゲームコントロール力」を身に付ければ、目標のJ1がしっかり視界に入ってくる。

【第14節、水戸-V長崎】澤田(左から2人目)の逆転ゴールを喜ぶV長崎の選手たち。アウェーの苦手意識を払拭した=茨城県水戸市、ケーズデンキスタジアム水戸

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