【レシピ】コロナ対策で話題の「免疫力向上」に必要な栄養素と簡単レシピ3選

現在私たちが直面している脅威「新型コロナウイルス」。ウイルスに対する抵抗力を維持・強化させる=「免疫力を高める」ことが、感染防止や重症化予防に効果があると期待されています。
今回は、医療保健学部 医療栄養学科講師の細田明美先生に免疫力についてお話を伺いました。

学術修士、管理栄養士、健康運動指導士、健康咀嚼指導士の資格をお持ちの細田先生 画像出典:『東京医療保健大学』 

免疫とは?

「免疫とは、私たちの体に侵入してくる細菌、ウイルス、アレルギー物質などの異物などを体外へ排除してくれる防御システムのことです」(細田先生)。
感染症やがんなど病気になる元(異物)を見つけて殺傷し、排除するのが免疫細胞。病原菌などから体を守ってくれる免疫細胞は、傷ついた細胞の修復や、新陳代謝を活発にすることにより体の機能低下や細胞の老化防止も行ってくれるのだそう。
この免疫機能が適切に働いてくれていれば、外敵から体を守り、ストレスにも強くなるのだとか。

免疫機能を高め、健康を維持するには?

免疫機能は、加齢や極度のストレス、睡眠不足や運動不足、飲酒・喫煙などの生活習慣、食生活の乱れなど、日常生活のバランスが崩れると免疫力が低下してしまいます。
「なかでも重要なのは、栄養と食事です」と細田先生。
免疫力に関係する栄養は、エネルギー、たんぱく質、n-3系脂肪酸、ミネラル、ビタミン、食物繊維、乳酸菌など。しかし、ある特定の食品や栄養素を強化すれば良いということではなく、あくまでも様々な食品から栄養バランスのとれた食事をすることが大切なのだそうです。

細田先生直伝!「免疫力を発揮する食事の6大ポイント」

【1】たんぱく質をとる

たんぱく質は、免疫細胞の主要成分。たんぱく質が不足すると免疫細胞が減少し、免疫力の低下につながります。

卵、魚、肉、大豆・大豆製品はたんぱく質が豊富

【2】ミネラルやビタミンをとる

細胞を傷つける「活性酸素」の働きを抑え、免疫細胞を守る働きがあるミネラルやビタミン。なかでもビタミンAは鼻や喉の粘膜を強くする働きがあります。

野菜や果物は特にミネラルやビタミンが多く含まれています

【3】食物繊維をとる

腸内環境を整えてくれる食物繊維。腸内環境を整えることで免疫細胞も活性化され、免疫力が高まります。

豆類やきのこ類、海藻類、野菜や果物は食物繊維がたっぷり

【4】発酵食品をとる

腸は、全身の免疫システムの重要拠点! 発酵食品は腸内の善玉菌を効率的に増やし、腸内環境を良好に保ち、免疫力低下を予防してくれます。

納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌などの発酵食品で免疫力低下予防

【5】体を温めるものをとる

体を温めて血流を良くすると免疫細胞が全身に行き渡り活発に活動するのだとか! 逆に体温が1℃下がると免疫力は30%下がるそう。

生姜、にんにく、ねぎ、唐辛子で体温UP!

【6】定期的に水分をとる

体内の水分量が減ると鼻や喉の粘膜が乾燥し、細菌やウイルスが侵入しやすくなります。また、水分量が不足すると血流も悪くなり、免疫機能も低下します。

1日にコップ6~8杯の水分を

免疫力向上が期待できるレシピ

細田先生考案の“免疫力UPレシピ”をご紹介。アドバイスも必見!

蒸し鶏の甘辛ソースがけ

余熱で仕上げる蒸し鶏は、むね肉と思えないほどしっとり!(写真ではレタスを使用)

材料(2~3人分)

・鶏むね肉(皮付き)…1枚
・塩…1g
・酒…大さじ2
・A(醤油・酢…各小さじ2、砂糖・オイスターソース…各小さじ1)
・サニーレタス…1~2枚

作り方

1.鶏むね肉は、厚い部分を薄く開き、フォークで全体を刺して味をなじませやすくし、塩をすり込んで5分置く。
2.1.を耐熱性のポリ袋(ジップ袋など)に入れ、酒を加えて全体に揉み込み、空気をしっかり抜いて口を閉じる。
3.鍋に水と2.を入れて火にかけ、沸騰して1~2分たったら火を止め、蓋をして30分間温める。
4.30分経ったら袋のまま冷水に放って冷まし、1cm幅のそぎ切りにする(鶏皮は好みで取り除く)。
5.一口大にちぎったサニーレタスを皿に敷き、4.の蒸し鶏をのせる。
6.よく混ぜ合わせたAを5.の蒸し鶏の上にかける。

細田先生のアドバイス

・良質なたんぱく源でヘルシーな鶏むね肉は、アンセリンやカルノシンといったアミノ酸の仲間である成分が豊富で、活性酸素を抑える働きがあり、高い抗酸化作用があります。

・この料理には、アジアン風ライスがピッタリ。米2合を洗い、通常の分量の水に鶏がらスープの素(小さじ1強)とおろし生姜・おろしにんにく(各小さじ1弱)を入れ、軽く混ぜて炊飯するだけ。おろし生姜とおろしにんにくは市販のチューブでOKです!

大根の冷製スープ

工数は多いけれど、作る価値のある美味しさ! 豆乳独特の風味も気にならないので、豆乳が少し苦手という方もぜひ。冬は温かいスープでいただくのも◎

材料(4人分)

・大根…200g
・オリーブオイル…小さじ1
・あご出汁…480ml(かつお出汁でもOK)
・無調整豆乳…200ml
・味噌…20g
・小ねぎ…2g

作り方

1.大根は皮を剥いて薄めのいちょう切りにし、サッと茹でて水気を切る(レンジ加熱でもOK)。
2.鍋を火にかけ、オリーブオイルを入れ、1.を加え中火で炒める。
3.大根に油がなじんだら、あご出汁を加え、大根が軟らかくなるまで茹でる(水分の蒸発が多い場合は、適宜水を加える)。
4.3.を冷まし、フードプロセッサーかミキサーにかける。
5.鍋に戻し、豆乳を加えて火にかけ、味噌を溶き入れ、味を調える。
6.粗熱をとり、冷蔵庫で冷やす。
7.冷めたら器に盛り付け、小口切りにした小ねぎを散らす。

細田先生のアドバイス

・大根に含まれる消化酵素のジアスターゼは消化を助けます。さらに大根の辛味成分であるイソチオシアネートは細胞の老化を防ぎます。免疫力向上のために積極的に利用してください。

・味噌などの発酵食品は腸内環境を整え、免疫細胞を活性化し、免疫力を高めます。

・豆乳はたんぱく質のほか、ビタミンB群やビタミンEが豊富。さらにイソフラボン、レシチン、サポニンやオリゴ糖といった機能性成分が多く含まれ、健康を維持増進させたり、免疫力を高めたりする効果があります。

・あご出汁はパックや粉末などでも販売されています。塩分が含まれているものもありますので、味をみて味噌の量を調整してください。

ビーンズサラダ

ナンプラーのエスニックな香りが食欲をそそります!

材料(4人分)

・ミックスビーンズ…1缶(100g前後)
・きゅうり…1本
・ミニトマト…4個
・A(マヨネーズ…大さじ2、ナンプラー…小さじ2、レモン…小さじ1)

作り方

1.きゅうりは1cm幅のいちょう切りにする。トマトは4等分に切る。
2.よく混ぜ合わせたAにミックスビーンズ、1.を加えて混ぜる。

細田先生のアドバイス

・豆類は良質なたんぱく質、ビタミンB群が豊富で、腸内環境を整える食物繊維も多く含みます。またポリフェノールという抗酸化成分を含み、免疫力UPに効果があります。

・ナンプラーはタイ料理には欠かせない発酵調味料。発酵食品は腸内環境を改善し、免疫力を高めます。

簡単で美味しく免疫力向上に効果が期待できるものばかり。
手洗いやマスクなどの生活習慣に加え、食習慣でも“コロナ対策”を始めましょう!

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