川辺川ダム「選択肢の一つ」 蒲島知事「白紙」から転換

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球磨川の治水対策について、川辺川ダム建設も「選択肢の一つ」とする考えを示した蒲島郁夫知事=26日、県庁

 熊本県の蒲島郁夫知事は26日、7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、2008年に自身が白紙撤回した川辺川ダム建設を「選択肢の一つ」と述べ、検討対象に加える考えを示した。蒲島知事はこれまで「ダムによらない治水策を極限まで追求する」として、国や流域市町村と協議を続けてきたが、ダムを含めた治水策の検討にかじを切った。

 県庁で開いた定例記者会見で蒲島知事は「ダムの洪水調整機能を排除せずに検討していく」と明言。08年のダム白紙撤回の判断は当時の民意だったとし、「未来永劫[えいごう]正しいかは歴史が決める。新たな経験や気象状況の変化を踏まえ、新たな決断を下すことになる」と述べた。

 ダムの治水効果については「当時も河川工学的に洪水調整機能はとても大きいと認識し、その考えは今も変わっていない。今回の大水害に対して今後、どのように安全に川を流していくか、大きな問題として突き付けられた」とした。

 一方、この日の災害対策本部会議後、報道陣に現時点の姿勢を重ねて問われ、蒲島知事は「県として方針転換を決めたわけではない」と強調。「治水対策の方向性は(国や流域市町村との)豪雨検証委員会の結果を踏まえて決める」と繰り返した。

 7月豪雨災害を受け、球磨川流域の首長からはダム建設を含む治水対策の実施を求める声が強まっている。国土交通省は25日の豪雨検証委員会初会合で、氾濫した球磨川の人吉市での推計ピーク流量(速報値)を公表。上流の氾濫や県営市房ダム(水上村)がなかった場合に毎秒8千トン程度と推定し、市房ダムによる洪水調整で7500トン程度に低減されたとしている。さらに、川辺川ダムがあれば4700トン程度に抑えられるとする試算も示した。(野方信助)