コロナで解雇4万5,000人超…深刻化する雇用問題

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。8月20日(木)放送の「ニュースランキング」のコーナーでは、現在増加傾向にある新型コロナの影響による解雇や雇い止めについて、意見を交わしました。

◆コロナ解雇、最多は製造業

厚生労働省は8月18日、新型コロナウイルス感染症に関連する解雇や雇い止めが、4万5,650人にのぼったと発表。業種別では、最多が7,425人の製造業で、続いて宿泊業、小売業、飲食業、労働者派遣業の順ということです。この集計は全国のハローワークなどに相談があった事業所の報告をもとにしており、実際はこれより多いと見られています。

政府は、新型コロナ感染拡大の防止と経済活動の両立に向けて舵を切っているものの、経済が大きな打撃を受けている状況に、弁護士の三輪記子さんは「これからもっと倒産件数などが増えてくると思うので、雇用問題はさらに深刻化すると思う」と推測。

このニュースは、男性は56%で女性が44%、年代別では20~40代と働く世代の多くが関心を寄せており、「それだけ雇用問題に不安を感じている人が多いということ。そこに対する手当をしなければならないのでは」と率直な感想を口にします。

MCの堀潤がその手当とは何なのかを問うと、「雇用創出なのか、そのままお金を配布するような政策など、オプションはいろいろとあると思いますけど、そういったことをやろうとする気配が一切ないことも、人々を不安にさせているのでは」と三輪さん。

まだまだコロナ収束の見通しが立たないなか、堀は「立ち直りの早いところと、業態変異を迫られるところ、産業も二極化していくでしょうね」と示唆します。

◆コロナ禍で持ち合わせておくべき意識は!?

慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんは、「生業を持つことはとても大事だけど、どこかの企業から1つの雇用を得ているということが、生業の全てではない」と主張。

そして、自身の祖父母は雇用されていなかったことを引き合いに「雇用が仕組みとして当たり前になかった時代は、みんなどうやって生業を持って自分の生活を成り立たせるかをいろいろな方向から考えていた」と話します。

とはいえ、今は祖父母の世代とは時代が異なるだけに「当然、今と同じような暮らしを雇用なしで保てるかどうかはわからないですけど」と前置きつつも、「雇用という仕組みは素晴らしいし、守ってあげる必要があるとは思うが、『雇用が絶対じゃない』というのはコロナ禍になる前からずっと言っている」と若新さん。ひいては「一人ひとりの視点として、人生は全て雇用ありきではなくて、自分はどういった場所でどう働いて生活の糧を得て生きていくのかということを、根本から考える必要もある。雇用保障も当然大切だけど、そのあたりの価値観から変わっていくようなところにきたのかなと思う」と見解を示します。

対して、堀は「雇用主と雇用される側が、本当の意味で"対等”な関係を築けるような労働環境を作らないと、こういう(有事の)ときに『雇用の調整弁だから』とスパっと切られて終わりというのは歪んでいると思う」と労働環境の整備の必要性を訴えます。

これに若新さんも同意した上で、雇用制度の柔軟性のなさを指摘。「例えば、(雇用する側が)『この期間は最低賃金分には達しないけど、みんなの雇用関係を続けられるようにするから』と言って、みんなで痛み分けをするような柔軟性が今はまだ追いついていない。そういった契約の関係のカタチも変わっていく必要もあるし、堀さんの言うような視点も大事」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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