鷹・中村が公式戦初のサヨナラ打 通算1000安打目前で印象に残る安打は?

26日のオリックス戦でサヨナラ打を放ったソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】

オリ田嶋には4打席で2三振「いつもに増していい投手でした」

■ソフトバンク 4-3 オリックス(26日・PayPayドーム)

26日のオリックス戦で劇的なサヨナラ打を放ってチームを4連勝に導いたソフトバンクの中村晃外野手。打撃職人と称される中村だが、レギュラーシーズンでのサヨナラ打はプロ13年目で初めてだ。それを意外に感じるファンも多いようだが、この日の喜びのコメントとともに中村がこれまでに放ったサヨナラ打を振り返ろう。

同点で迎えた9回裏。1死一塁で打席に立った中村が、オリックスの守護神・ディクソンの3球目を振り抜くと打球は右中間の最深部へ。一塁走者の牧原大成が躊躇なく本塁を陥れ、ソフトバンクの劇的なサヨナラ勝ちとなった。

この日の中村は、オリックスの先発・田嶋大樹に大苦戦。7回までの4打席で無安打、2つの三振を喫していた。「いい投手でしたね。というか、いつもに増していい投手でした」と、潔く田嶋の力を認めつつ「それまでまったく打ててなかったので、何とかやり返したいと思っていました」と、右のディクソンを相手にそれまでの鬱憤をぶつけてみせた。

一塁走者は快足の牧原。打った瞬間にサヨナラを確信したのかという問いかけには「(相手の外野が打球処理を)ちょっともたついていたので、もしかしたらあるかなと思っていました。そしたら(牧原が三塁を)回ったので、僕もついていきました」と、サヨナラ三塁打に笑顔いっぱいだ。レギュラーシーズンでのサヨナラ打は初めて。それは中村自身が誰よりもわかっている。「初めてだなと思いました。やっぱりいいっすね。勝てたんで、それが一番です」。

ファンの中にも「え? 初めて?」と感じている人も多いだろう。それはファンの記憶に強烈に焼き付いた、日本シリーズでのサヨナラ打があるからだ。2014年10月29日、阪神との日本シリーズ第4戦で中村は逆転サヨナラ3ランを放っている。この年リーグ最多安打のタイトルを獲得した中村だが、ポストシーズンでは不調に苦しんでいた。その中で迎えた第4戦での劇的な一打は、日本一に王手をかける大仕事となった。

さらに、中村は日本代表の一員としてもサヨナラ打の経験を持つ。2015年11月15日、台湾で行われたプレミア12のベネズエラ戦だ。9回表に1点を勝ち越されながら、その裏に相手の暴投で追いつき、さらに満塁の好機で中村がレフト前にサヨナラ打。この一打で侍ジャパンは1次ラウンドの突破を決めた。

チームメートに祝福されるソフトバンク・中村晃(右)【写真:藤浦一都】

通算1000本安打まで残り19安打、印象に残る安打はプロ初安打

この日のサヨナラ打で今季の安打数は41本となり、プロ通算1000本安打まで残り19安打となった。先日「レギュラーシーズンで印象に残るヒットは?」と尋ねる機会があったが、中村はしばし考えた後に「やっぱり初ヒット(2011年5月10日、当時オリックスの寺原隼人からレフト前)ですかね。CSとか日本シリーズではいっぱいあるんですけど……」と答えた。

前述の日本シリーズでのサヨナラ3ランだけでなく、昨年の西武とのCSファイナルステージ第2戦に先制打と2ランの3打点、第3戦にも先制打を放つ活躍を見せているが、当然それらは通算1000本安打にはカウントされていない。この日のサヨナラ打は、節目を迎えた日にプロ初ヒットと並んで中村自身の印象に残る一打として語られることになりそうだ。

全120試合となった今シーズンも、ソフトバンクにとってはこの日が58試合目。折り返しは目の前だ。「僕は20試合くらい遅れてきたので、余計に早いですよね。1週間もあっという間ですし。毎日試合があるので、これを11月までと思うと体力的にきてる部分もありますが、毎日しっかりケアをして、試合に出られる状況で球場に来れればいいなと思います。とりあえずケガだけしないようにしたいです」。3年ぶりのリーグ優勝と4年連続の日本一を手にするまで、懸命に駆け抜ける覚悟だ。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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