無観客での開催が続くF1、ポルティマオとイモラで観客の入場を目指す。現地観戦には厳しい制約も

 2020年シーズンのF1第12戦ポルトガルGPを開催するアルガルベ・インターナショナル・サーキットと、第13戦エミリア・ロマーニャGPを開催するイモラ・サーキットは、それぞれのグランプリでファンを入場させることを望んでいる。エミリア・ロマーニャGPの主催者は、1日あたり1万人の観客をグランドスタンドに入れることを目指しているという。

 今シーズンこれまでのところ、すべてのレースが無観客で行われている。各地域や国、またFIAが新型コロナウイルスの感染拡大防止ルールを実施しており、誰もグランドスタンドから観戦することができていない。今週末第7戦ベルギーGPが行われるスパ・フランコルシャンにおいてもファンは入場を許されておらず、次の第8戦イタリアGPと第9戦トスカーナGPも無観客で開催される予定だ。

 しかし第10戦ロシアGPの主催者は、最多で3万人の観客の入場を許可することを望んでいる。第11戦アイフェルGP(ニュルブルクリンク)は今も無観客レースを予定している一方で、ポルトガルGPの主催者は最多で5万人のファンを入場させる許可が得られることを期待している。

 だが、観戦を望むファンには厳しい制限が課せられる。アルガルベ・インターナショナル・サーキットの代表であるパウロ・ピニェイロは今週、『SpeedWeek』に次のように語った。

「チケットを購入すると、同意しなければならない数多くのルールが記載された書類と一緒にチケットが自宅に送られてくる」とピニェイロは説明した。

「たとえば、もしドイツからくる場合、ファロの空港に到着することになる。どこでレンタカーを借りるか、どの道を通ってレーストラックに行くか、そこでどこに駐車するかを教えられる。そして係員がやってきて、どの入り口を通ってグランドスタンドのシートに行けばいいか指示がある」

「観客は常にマスクをつけ、定期的に手の消毒をしなければならない。マスクを外していいのは、食べる時と飲む時だけだ。もしトイレに行く必要があったら、係員に相談する必要がある」

■MotoGP開催のミサノでは、最多で1万人が入場可能に

 イモラでのレースはその1週間後だが、主催者は観客を迎え入れることができると、慎重ながらも楽観的な姿勢でいる。

「観客を迎え入れることができる可能性があると期待している」とエミリア・ロマーニャGP主催者のウベルト・セルバティコ・エステンセはイタリアの『Autosprint』誌に語った。

 エステンセは、エミリア・ロマーニャ州のステファノ・ボナッチーニ州知事が、9月に開催されるMotoGPの2レース(第7戦サンマリノGP、第8戦エミリア・ロマーニャGP)に向けて、すでに近隣のミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリにファンを入場させる許可を出していると語った。

「ボナッチーニ州知事は、ミサノで最多1万人の観客の入場を許可する条例を出した」とエステンセは語った。

「ここの収容人数から、10月末から11月初めのイモラでも可能だと考えている」

 またエステンセは、イモラではこれよりも少し多い観客を入れることを期待しているという。

「我々は完全な安全策の元で、さらに多くの観客を入れるよう取り組んでいる」

 ファンが入場できようがそうでなかろうが、このレースはF1の歴史のなかでも注目の一戦になるだろう。イモラは2006年シーズンのサンマリノGP以来、14年ぶりにグランプリを開催するのだ。

「我々にはグレード1の認証を有効のまま維持し、F1を開催できるようにしておく良識があった。我々は(F1のレースディレクターの)マイケル・マシが認める安全レベルを実装してきたのだ」

「こうしたことから、我々のトラックは、世界でも最高だと見なされているのだと思う」

2006年F1サンマリノGP 佐藤琢磨(スーパーアグリ)
2006年F1第4戦サンマリノGP

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