西武・金子が“変心”4安打 辻監督は魂のヘッスラ安打を激賞「最高じゃないか!」

西武・金子侑司【写真:荒川祐史】

金子侑司がバットを短く持って4安打、辻監督「格好ではない。塁に出ることが役割」

■西武 8-7 日本ハム(27日・メットライフ)

獅子のスピードスターが、ついに覚醒のきっかけをつかんだか。西武・金子侑司外野手は27日の日本ハム戦に「9番・中堅」でスタメン出場し、4打数4安打。5連敗中だったチームの勝利に貢献した。

普段はバットのグリップエンドいっぱいを握る金子が、この日はひと握り分ほど短く持っていた。そして1点ビハインドで迎えた9回、先頭打者としてボテボテの当たりの遊撃内野安打を放ち、逆転サヨナラ劇の口火を切ったのだった。この時、相手遊撃手の中島は送球を諦めたが、金子は一塁にヘッドスライディング。ユニホームにべっとりと土がついた。

辻監督は試合後、「ああいう内野安打、最高じゃないか!」と称え、「バットを短く持ったことによって、少しでも芯の近くに当たれば、あそこへ飛ぶ。俺も現役時代に、短く持つように変えた経験がある。格好ではない。塁に出ることが自分の役割と考えて、変わってくれればいいと思います」と語った。

プロ8年目・30歳のスイッチヒッターで、盗塁王2度の快足を誇る金子だが、1番打者定着の期待には応えられずにいる。とりわけ秋山(現レッズ)が抜けた今季は絶好のチャンスで、開幕前のオープン戦、練習試合を通じ1番で起用されたが、打撃不振で9番に降格。挙句、首痛を訴えて今月13日まで40日間1軍の戦列を離れていた。

チームきってのイケメンで、スター性も十分だが、球団関係者の間では「格好よく、きれいなヒットを打とうとし過ぎる。あれだけの足があるのだから、高いバウンドとか三遊間方向へのボテボテのゴロを打てば、ヒットになるのに」と惜しむ声がしきりだった。

2年連続パ・リーグ覇者の西武だが、今季は秋山が抜けた穴を埋める1番に適任者が見当たらず、まさかの5位を低迷中。長年の期待株である金子が殻を破り、そのスポットにハマってくれれば願ったりかなったりだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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