「毎週進化している」 BC栃木入団の川崎宗則、福岡の“弟子”が語る現役へのこだわり

川崎宗則(右)と流大輔さん【写真提供:流大輔さん】

元独立リーガーの流大輔さんが川崎のトレーニングをサポート

ムネリンが、栃木にやってくる。元ソフトバンクの川崎宗則内野手が、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに加入することが28日に発表された。27日までの4日間、練習に参加して環境面などを確認。20歳前後の若手に混じって、軽快プレーも披露し「試合に出ていろんなプレーをしたい」と意欲を見せていた。衰えを知らない好奇心と、現役にこだわる潔さ。その原動力の一端を、身近で見てきた人がいる。

川崎は昨季、台湾プロ野球の味全ドラゴンズでコーチ兼任としてプレー。今季は契約合意に至らず、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって渡航制限がかかる中で、独自に調整を進めていた。九州を拠点にしながら、福岡を訪れた際には「まな弟子」が営む練習施設で汗を流していた。

「ムネさんはまだまだ進化していますよ。なんなら、毎週進化していると言ってもいいくらいです」

そう語るのは、福岡県久留米市で野球塾を主宰する元独立リーガーの流大輔さん。「一番尊敬する師匠」という川崎の練習パートナーを務めながら、野球に取り組む姿勢を間近で見てきた。練習方法や自らの体との向き合い方を日々追求している39歳は、楽しくて仕方ないようだった。

「ここを変えてみたら、どう体やプレーが変わってくるだろうかと、ずっと考えてるんです。常に何かを得ようとしているし、ムネさんは自分の体でいろいろ試している」。トレーニングひとつとっても、工夫をこらす。攻守交代をイメージしながら、ノックした直後にダッシュ、さらに打撃練習と組み合わせてやることもある。食事の内容や摂取時間を変えて様子を見ることもある。

メジャーも経験した川崎の試行錯誤「想像力やイメージがプレーを生み出していく」

試行錯誤を繰り返す理由のひとつとして、川崎はこう言ったという。「メジャーはそもそも日本人とは筋肉や骨格が違うからとみんな言うけど、それは違う。想像力やイメージがプレーを生み出していくんだから、そのためにどうするべきかを考える」。ブルージェイズなどで5年間プレーした経験をもとにした信念でもあった。

交流が始まったのは12年前。19歳だった流さんが四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスに加入する直前、当時チームの監督だった定岡智秋・現ヘッドコーチを通じて鹿児島での自主トレに参加したのがきっかけだった。俊足で同じ左打ちの内野手。ソフトバンクで不動の地位を築いていたにも関わらず、人を選ばない底抜けの明るさにも惹かれ「全てをムネさんから学びました」と言う。

2019年のラグビーW杯で活躍したSH流大の兄でもある流さんは、11年に高知で盗塁王を獲得するなどNPB球団も注目する選手だったが、故障もあり12年に硬式を引退。15年に野球塾「Shooting Star Baseball Academy」を開いた。普段は小中学生を指導する傍ら、オフには川崎やソフトバンクの本多雄一・現1軍内野守備走塁コーチら多くのNPB選手の自主トレの場として提供してきた。

「僕としても、出来る限りムネさんのサポートをしたいと思っています」。3年ぶりの国内復帰で、真剣勝負でのプレーを間近で見ることができる。加齢とともに体力面が下降するのは逆らえない。ただ、それを補う練習の質、ケア、アイディア、経験……。師匠が歩む進化の過程を、これからも見届けていく。(小西亮 / Ryo Konishi)

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