販売好調「ホンダフィット」 “軽自動車とどちらがおトクか”を検証

2020年2月14日から販売を開始したホンダの主力車種のひとつである4代目「フィット」。安全運転支援システムも標準装備する実用性に優れたコンパクトカーですが、全グレードを乗って改めて感じたこのクルマが本当にコスパが高いことが見えてきました。


初代から“ルール破り”!?

初代フィットは2001年6月に発売を開始、それまで販売されていた「ロゴ」の実質的な後継車種でしたが、ホンダらしい独創的な技術が満載されていました。

そのひとつが現在のホンダ車の多くに搭載されている「センタータンクレイアウト」と呼ばれる技術。これにより室内空間やラゲージスペースを従来以上に拡大することが可能になりました。ちなみにこの技術、実はホンダの「特許」でもあります。

この他にも大幅に向上した燃費性能など、この時代のコンパクトカー市場に一石を投じたことで2002年には33年間販売トップをキープしていたトヨタ・カローラを首位の座から陥落させるほどの大ヒットモデルとなりました。

特にボディサイズに関しては同クラスのライバル車に対して5ナンバーサイズながら“ちょっと大きめで広い”というすき間を付いたような絶妙の設計にライバルメーカーの技術者からも「(暗黙の)ルール破りだ」という声も聞かれたほどです。

その後はこのクラスのベンチマークとして市場を牽引してきたフィットですが、販売台数こそ好調とはいえ、昔と違うのは軽自動車が売れている点です。特にホンダには「Nシリーズ」があり、まさに「敵は身内にあり」状態でもあるわけです。

個性溢れる、多彩なグレード展開

現在販売されているフィットはこれまでフィットを培ってきたコンパクトカーとしての資質をさらに磨き上げ、実用性や環境性能、そして安全装備に関しても同社の「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備しています。

グレード構成はベースモデルの「BASIC」のほか、「HOME」「NESS」「LUXE(リュクス)」そして若干ではありますが車高を上げクロスオーバーモデルのように仕上げた「CROSSTAR(クロスター)」の5つになります。

燃費も含め実用性に優れた1.3Lガソリンエンジンを搭載します

これに新開発の1.5Lの2モーターハイブリッド“e:HEV”と1.3Lのガソリンエンジンを組み合わせ、さらに全グレードでFFと4WDが選べますので全部で20モデルというラインナップを構成します。

最近、軽自動車って高くないですか?

フィット同様、日本の自動車市場で存在感を見せているのが軽自動車です。自動車税をはじめとした税制上のメリットはもちろんですが、先進運転支援システムなども標準装備するなど、もはや「軽自動車だから」という昔ながらの負い目などは今の軽自動車には感じることはありません。

また普段の生活で乗車する人数は1~2名であれば使い勝手や対向車とのすれ違い時なども全幅が狭い軽自動車の方が接触するリスクも少ないわけです。

その軽自動車ですが、登録車同様の機能を搭載すれば当然のことながら車両価格は上昇します。工場で装着するメーカーオプション類も増えている中、車種にもよりますが、車両本体価格で200万円を超えるモデルも現実は存在します。もちろんベーシックグレードであれば130万円台からラインナップされますが、売れ筋は「これ1台で全部入り」という上位グレードです。それでも前述したように税制上のメリットはあるので多くの人が購入するわけです。

でもフィットはやはり5名乗れる

しかしフィットと軽自動車を比較した場合、当たり前ですが乗車定員が異なります。フィットは5名、軽自動車は4名です。

ライフスタイルにもよりますし、核家族化の中「5名乗車の機会は無いし、遠出もしない」のであれば軽自動車で十分でしょう。しかしフィットをはじめとする登録車は乗車定員の違いだけでなく、室内や荷室の広さ、走りにゆとりがある点、そしてカタログ値だけでは判断できない燃費性能などメリットが大きいのです。

どのグレードを選ぶべきか

前述したようにフィットのグレード構成は非常に多彩です。また価格に連動したグレードのヒエラルギーを縦軸と考えた場合、フィットはライフスタイルに合わせた横軸のグレード構成が特徴です。

特に「NESS」「CROSSTAR」「LUXE」はそれが顕著で、装備のほか、それぞれのグレードにしかないボディカラーも設定されています。

価格だけ見れば最も低価格なのは「Basic」のガソリン車(FF)で車両本体価格は155万7,600円、ホンダセンシングやエアバッグなどの安全装備を含め内容も十分、これはこれで評価されるグレードと言えます。

しかし、やはりオススメしたいのはその上に位置する「HOME」です。ガソリン車(FF)で車両本体価格は171万8,200円と価格差は16万600円あります。

この差はどこにあるか、と言えば大きく3つ、HOMEの場合はエアコンが「フルオート」になること。ヘッドライトが明るく省電力の「フルLED」になること。そしてシート表皮が肌触りが良く、上質な風合いを持つコンビシートが装備されます。

前2つは快適性や夜間における視認性の向上に寄与しますが、同時に電力消費なども抑えられるので実走行時の燃費にもプラスに働きます。

徹底的にコストダウンしたいのであれば「BASIC」はアリですが、クルマはある程度長く所有することを考える必要があります。その点では満足度が高く、所有する歓びと同時に長く付き合える仕様が必要です。その点でもガソリン車の「HOME」は高いコスパを持ったベストマッチモデルであることがわかります。

月々3万円代で快適カーライフ!

今回実際ディーラーで見積もりを取ってみました。現在のクルマの購入方法は一括払いのほか、これまでの分割クレジット、そして月々の支払い価格を低減する「残価設定型クレジット」が設定されています。

今回選んだ「HOME」のガソリン車(FF)の場合、3年間(36回)の残価設定ローンだと頭金13万8,710円、ボーナス時支払い無しで月々2万9,200円でした。

ナビはすべてオプションになるので販売店で相談をオススメします

ここでオススメなのが、ホンダには安心と利便性を向上させる「Honda CONNECT for Gathers+ナビ装着用パッケージ」が4万9,900円でメーカーオプション設定されています。これにはリアカメラや緊急通報ボタンやステアリンリモコン、USBジャック、そして万が一の緊急時のための専用車載通信機なども搭載されておりコスパは抜群です。この場合装着するカーナビはディーラーオプションで設定されているホンダ純正のみになりますが最も低価格のナビでも10万4,808円と若干高く感じるかもしれません。ただこれらを組み込んだ場合の月々の支払いは36回の残価設定ローンだと頭金13万9,110円、月々3万3,200円と家計を圧迫しないギリギリの上昇で抑えることができます。


人によってクルマ選びはグレードだけでなく、ボディカラーや装備など様々です。ただ昨今の車両価格が高騰気味の中、探せば軽自動車より安く安全と快適性を両立できるクルマは存在します。その点でもフィットは改めて魅力的な1台と言えます。

© 株式会社マネーフォワード