コロナ禍で進む、企業のWeb活用。世界最大級の見本市もオンラインで開催

新型コロナ禍の影響で、社会の仕組みが大きく変わり始めている。企業活動においてはとくに、リモートワークやWeb会議などの業務のオンライン化が加速した。また、オンラインでの講習会、いわゆるウェビナーやセミナーなども定着しつつある。さらに、世界規模の展示会や見本市も続々とオンライン展示会に切り替えることが発表され、話題となっている。

 例えば、世界最大級のテクノロジー関連見本市「CES 2021」も、その一つだ。主催者のコンシューマー・テクノロジー・アソシエーションは7月28日、来年1月に開催する「CES 2021」を完全オンラインイベントとして開催する旨を発表した。出展企業は新製品の発表をライブ配信で行ったり、ビジネス間の繋がりは、オンライン上で交流を図る。また、基調講演やカンファレンスもオンラインで参加可能だ。同展示会では毎回、世界中の家電やコンピューター、オーディオメーカーなどが出展し、新製品や最新のテクノロジーを公開しているが、近年は自動車メーカーの参加も増えており、EV関連や自動運転技術関連等の最新技術展示にも注目されている。

 実際の目で見たり、膝を突き合わせて商談が行えるリアルな展示会はもちろん重要だが、オンラインならではのメリットも大きい。実際、例年のCESのようにラスベガスでの開催となると、中小企業やスタートアップなどには敷居が高くなる。その点、オンラインだと世界中のどこからでも参加可能になるので、時間や経費の節約にもなり、門戸も広がり、ビジネスチャンスを拡大するキッカケにもなるだろう。

 日本のメーカー各社も、オンライン展示会の導入や参加に積極的だ。例えば、ホンダ系の総合システムメーカーのケーヒン〈7251〉は、自社の特設サイトにバーチャルエキシビションを公開している。まるで展示場ブースのようなレイアウトをWeb上に設置し、自社の主力製品であるパワーコントロールユニット、ゲートウェイユニット、バッテリーマネジメントシステムなどをそれぞれ3分程度の動画で紹介。PCでの視聴はもちろん、スマホなどからも閲覧できるので、電車での移動中などでも気軽に同社製品の最新情報がチェックできる。

 また、安川電機〈6506〉も、同社のサイト上でバーチャルショールームを展開している。同社の独自技術やメカトロシステムの実演などを動画やアニメーションなどを使って紹介している。同社では2013年頃からすでにバーチャルショールームを開設しているので、資料も豊富に揃っているのも魅力だ。

 半導体大手のローム〈6963〉も、Webサイトの活用を積極的に行っている。同社では数年前からウェビナーの活用をはじめており、現在は開催回数を大幅に増やして、オンライン上でのコミュニケーションを積極的に展開している。

 さらに、同社はオンライン展示会への参加にも意欲的で、「CES 2021」をはじめ、10月に開催される「CEATEC ONLINE 2020」への参加も表明しているほか、9月8日から開催される「テクノフロンティア バーチャル展示会2020」ではスペシャルスポンサーとしても参画している。

 新型コロナ禍が終息した後も、こういったバーチャルでのビジネス展開は継続され、リアルと並行して、より活気を帯びそうだ。日本はこれまで、他国に比べてオンライン等の利用に消極的で、立ち遅れているといわれることも多かったが、この逆境をチャンスに変えて存在感を示す機会に変えてもらいたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

オンラインでの講習会、いわゆるウェビナーやセミナーなども定着しつつある

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