コロナ長引きそうだが…事業継続計画「未策定」依然多く 長崎県内企業調査

県内主要企業に聞いた感染拡大防止策

 新型コロナウイルスの影響は長期化するとみているが、感染に備える事業継続計画(BCP)の策定はまだこれから-。十八銀行系シンクタンク、長崎経済研究所(長崎市)が実施した感染拡大に関する3回目の県内主要企業調査で、こうした見方や現況が多く示された。
 調査は3~7日にメールで実施し、131社が回答した(回答率39.1%)。回答企業の業種別内訳は製造業34、建設業15、運輸業17、卸売業21、小売業15、サービス業19、その他10。
 事業への影響について「マイナスがある(あった)」は69%に上り、「今後マイナスが生じる可能性がある」が15%。サービスや運輸、小売など観光関連業種が目立った。具体的には「国内取引先からの受注減により生産・販売が減少」が最多。「展示会やイベントの延期や中止」「出張の自粛・制限などによる商談の遅れ」「個人消費の低下により生産・販売が減少」-などと続いた。
 逆に「プラスがある(あった)」と「今後プラスが生じる可能性がある」は、いずれも2%。食料品など巣ごもり消費ニーズを捉えた小売業や卸売業が答えた。また「ほとんど影響はなく、今後もない見込み」は6%だった。
 売上高の前年同月比を尋ねたところ、6月は「減少」した企業が70%を占めたのに対し、「増加」は8%。7月も「減少」66%、「増加」5%で、業績回復の足取りは重い。事業環境がコロナ前の水準に戻る見通しは「1年程度」が27%と最も多く、それより先とみる回答と合わせると半数近くに上った。一方で「分からない」も25%と目立った。
 感染拡大防止策について実施中・済みは「ウェブ会議・事務手続きのオンライン化」と「運転資金の確保」が各44%、「従業員の休業など」が34%、「出退勤時間の見直し」が31%-と上位に挙がった。実施予定・検討中は「従業員への新型コロナ接触確認アプリの利用推奨」が47%に達し、「BCPの策定・改定」が39%で続いた。実施困難は「テレワーク・在宅勤務」が36%に上り、次いで「出退勤時間の見直し」が22%だった。
 前回の5月調査時と比べると「テレワーク・在宅勤務」の実施中・済みが29%から、今回は20%に後退。「出退勤時間の見直し」や「従業員の休業など」も減っており、緊急事態宣言解除に伴い通常営業に戻した企業が多いとみられる。BCPについて、同研究所は「前回調査時と同様、検討しているものの導入していない企業が依然多い。コロナ禍を奇貨として、スピード感を持って危機対応に取り組む必要がある」と指摘している。

 


© 株式会社長崎新聞社