新車がたった47万円!? 常識をブチ壊した初代アルトはエポックメイキングなクルマだった【偉大なクルマ】

スズキ アルト(初代)

スズキらしい作戦で軽が見事復活

今や新型車市場において全体の約4割以上を占める軽自動車だか、実はアルトという超偉大なクルマがなかったら、今の軽自動車はないと言っても過言ではない。1979年に登場した初代アルトは

1.全国統一価格

2.法律のスキをついた見事なパッケージング

3.モノグレード展開

と、常識をいくつも打ち破ったのだ。

価格破壊&常識ブチ破り! 全国どこでも47万円

キモは全国統一価格! 今でこそ日本全国どこでも同じ価格※で販売している新車だか、実は初代のアルトがデビューするまでは地域によって様々であった。というのもクルマが作られる工場を起点に、そこから遠くなる程輸送費がクルマの価格に上乗せされていたのだ。

1979年当時、売れ線の軽自動車はおおよそ60万円代というのがほとんどで、初代アルトは47万円というも破格の設定であったこともあり、CMなどでは安さを全面に押し出した「アルト47万円」というインパクト大のプロモーション活動が可能に。その甲斐あって、アルトの知名度は一気に広がるコトとなったのだ。

※車種によっては北海道のみ多少価格が上乗せされるモノも

初代はまさかの商用車だった!?

インパネを運転席から助手席まで一つのパネルとすることでコストカットを実現。時計やラジオといった走りに必要のないモノは全てオプションとするなど、スズキらしい超割り切り作戦を炸裂!

47万円という破格の価格設定が可能となったのは、スズキお得意の徹底したコストカットのおかげもあるが、最大の理由は税制に注目したコトだ。

当時、乗用車を買う際に課せられていた物品税は車両価格の15.5%という、庶民にとってはかなりハードルの高いモノであった。ところが、商用車であればこのバカ高い税金が0という法の抜け道に目を付け、初代アルトは商用車としてデビューし、47万円という超破格の値段を実現できたのだ。

ユーザー心理を分析! みーんな一緒の1グレード展開

1グレードのみのため、ほかのクルマのようにシート表皮が違うなどといった差は0

初代アルトの登場までは、他社のライバルを含めスタンダード、デラックスなどといったグレードいくつも用意されているのが当たり前であった。だが、ユーザーの中には「同じクルマでも自分より高いグレードの人がいると悔しい」などの声がスズキの元に寄せられたという。そこで、当時取締役を務めていた鈴木 修氏が「せっかく買っていただいたお客様に申し訳ない」という意味を込めて、1グレード展開となったのだ。

とここまで初代アルトがやってのけた偉大な3つの功績を紹介したが見事、1984年までに累計84万台を売り上げる超大ヒット作に! 当然、他社もこの成功に黙っているワケもなく、ダイハツ ミラ・クオーレやスバル レックスコンビ、さらには三菱 ミニカエコノといったライバルも多く生み出すなど、初代アルトが残した功績は凄まじかったのだ。

今はスーパーハイトワゴンが全盛の時代だが、軽自動車市場の立役者でもあるアルトに再び中句が集まって欲しいモノだ。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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