【新型コロナ】感染再拡大を巡り県医師会長 病院への公的支援が「急務」

 新型コロナウイルスの感染再拡大を巡り、県医師会の菊岡正和会長は「感染者は減少傾向にあるが、海外ではウイルスが変異してまん延した。油断はできない」と警戒感を示した。インフルエンザが流行する秋には医療現場の負担がさらに高まるとし、受け入れ態勢を持続させるには経営環境の改善が急務との認識を示した。神奈川新聞社の単独インタビューに答えた。

 県内の感染者は1月に初めて確認され、4月30日に累計千人に到達。7月20日に2千人、8月7日に3千人を超え、増加のスピードが速まっている。8月は病院や福祉施設、大学などでのクラスター(感染者集団)と家庭内感染が相次ぎ、15日に1日当たりの感染者数が過去最多の136人を記録した。

 菊岡氏は新型ウイルスの感染力の強さに警戒感を示した上で、食い止めるにはPCR検査の拡充が不可欠と指摘。「感染者から無自覚で感染させることを防がなければならず、患者の不安を和らげることにも意味がある」とし、症状が似ているインフルエンザの流行前に検査体制を再構築する必要性を訴えた。ワクチンに関しては、「今の段階で必ずしも期待を持てるとは言い切れない」との認識を示した。

 一方、感染の長期化とともに県内の医療機関は患者離れが続き経営状況が悪化しているとし、「公的支援が乏しい状況が今後も続けば医療崩壊が起きる」と危機感を表明。その上で「経営が悪化すれば感染者を受け入れられなくなり、県の『神奈川モデル』が成り立たなくなる。感染者の受け入れ病院、特に行政の後ろ盾がない私立病院への支援が急務だ」と訴えた。

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