資産2億円会社員、リーマンショック後に不動産投資を始めた理由

本業がある会社員・公務員は不動産投資に向いている面があります。その理由について、新刊『超お買い得になった株と不動産で1億円つくる!』の著者で、元公務員の東条駿介さんに聞きました。


銀行のお金で投資ができる!?

――東条さんは公務員として働きつつ、株と不動産の両輪で2億円超の資産を築きました。投資のスタートは株ですか?

そうです。学生のときにたまたま株を買う機会に恵まれて、その株が順調に伸びました。当時は店頭証券で買うのが当たり前ですし売買手数料も高かったので、持ちっぱなしにしていただけです。

環境的にはちょうど金利が下がっている時で、「預金では増えないなあ」と思っていました。一方、手持ちの株は2、3ヶ月で1割増になっています。「働く以外の方法でお金は増えるものなんだ」と実感して、そこから勉強するようになったのがスタートです。

――不動産投資に目を向けたきっかけを教えてください。

不動産を始めようと思ったのはリーマンショックの後です。実際に物件を買ったのは2009年のことでした。

当時はIPO(新規公開株)を中心に投資していたのですが、リーマンショックによってIPOが激減しました。状況的には、コロナショックによって新規上場が延期や中止になった最近の相場に近いと思います。

本業の仕事はありますが、給料だけで資産を作るのは難しい時代です。株は面白いですし投資の幅も広げたいと思っていました。

そこで「不動産をやってみようかな」思ったのです。

――新たな挑戦ですね。予備知識はあったのですか?

多少はありましたが実行していませんでした。というのも、株仲間で不動産投資をしている人がいて、「悪い話」を聞いていたからです。

例えば、管理が大変、まとまった資金が必要、家賃を払わない入居者がいる、空室になって収入がなくなった、などです。その時はまだ東日本大震災の前でしたが、地震などの天災リスクも不安でした。

ただ、仲間の1人が「自分で買うわけじゃない。銀行の金で買うんだから」と言い、それがスッと頭に入ったんです。

投資にリスクはつきものですが、全てのリスクを自分が背負い込むわけではない、ということです。

頭金として1、2割のお金は必要ですが、ローンの返済額や税金等と家賃収入を差し引きしてプラスならお金が入ってきます。会社員はローンが組みやすいというメリットもあります。

そう考えると、必ずしも悪い話ばかりではなく、むしろ会社員の副業に向いているのではないかと思ったのです。

「現地・現物」の確認が大事

――物件探しはどのように進めたのですか?

最初は自宅や職場に近いところで探したのですが、なかなか良い物件が見つからず、自宅から90分以内という目安を決めて探しました。

それで見つけたのが東京都下の中古ワンルームで、これが私が最初に買った物件です。

ただ、思った以上に時間がかかりました。

物件探しを始めてから東京都下の物件を買うまでも1年近くかかったと思います。

株や為替はスマホがあればすぐに買えますし、売買判断に必要な業績などの情報もすぐに手に入ります。

しかし、物件はそうはいきません。

最寄駅の乗降客数、街中の人通りなどを調べる必要がありますし、物件についても、近くにコンビニはあるか、駅から遠い場合はバス停はあるかなど、現地に足を運んで確認しなければならないことが多いのです。

この時は、初めての物件ということもあって慎重に選びましたので、結局、200〜300ほど比較して、ようやく1つ目を買ったと思います。

――もっとも多い時でどれくらいの物件を所有していたのですか?

手持ちの物件を売ったりして多少の入れ替えはありましたが、最多で7室です。

資産の内訳は、ざっくりいうと、株が1.5億円、不動産が5,000万円くらいでした。

借入金は、多かったときで自宅のローン込みで6,000万円くらいまであったと思います。

それなりに大きい借金ですが、株で作ったお金があったのと、いずれ受け取る退職金などの皮算用があったので、そこまで不安はありませんでした。

ただ、億単位の借金をして一棟丸ごと買う勇気はありませんでしたね。「大きい物件は流動性が悪いので売る時に大変そうだ」とか「区分なら最悪の場合、自分や子供や知り合いが住めば良い」などと考えていました。

当時は「かぼちゃの馬車」が問題になる前でしたので、周りには一棟ものを買う人もいました。いま考えると、思い切って買ってみれば良かったかもしれません。一棟ものを買った人は、みんなウハウハですから(笑)。

「会社員」であることが強み

――メインにしたのは中古ワンルームですか?

はい。築浅で5〜8年くらいの中古ワンルームが多かったですね。新築に比べて、利回りが高い中古ワンルームを探していました。

あとは、事務所として使える広めのワンルームも所有していました。これは、あらかじめ入居者がいるオーナーチェンジ物件で、入居している会社がリーマンショックを乗り切った会社でしたので、安心して持てる物件でした。借り手探しの手間などが省けるため、これから不動産投資を始める人にはオーナーチェンジ物件がお勧めです。

――高めの物件や複数の物件を持つ場合は融資を受けることが前提になりますね。

そうですね。最初の物件は数百万円だったのでキャッシュで買いましたが、その後は融資を受けて買っています。

ここが会社員や公務員の強みです。

銀行などの金融機関から見ると、「株で5,000万円稼いだ」という実績より、年収500万円の給料をもらっていることを証明する源泉徴収票のほうが価値があります。

金融機関は、ちゃんと働いている人を好みます。個人に貸すのではなく、職歴、肩書き、勤め先、属性に貸すわけです。

その点から見ると専業投資家は不利ですよね。私の友人の中にも、資産はあるのに欲しいクレジットカードの審査が通らないと嘆いている人がいます(笑)。

――資産額より社会的信用なのですね(笑)。本業がある場合でも、ある程度の自己資金は必要だと思います。いくらあれば良いのでしょうか。

手持ちの資金がある方が購入できる物件の選択肢が増えますので、多い方が良いとは思います。頭金なしのフルローンで買える物件もありますが、最低でも100万円、できれば200〜300万円くらいはあった方が良いですね。現状として手持ち資金が少ない場合は、本業の収入をコツコツ貯めながら資金を作ってほしいと思います。

その際にもっともやってはいけないのが、無理なレバレッジをかけて資金を増やそうとすることです。私の周りでも、過去にそういう人がたくさんいました。

「東条さんを真似て不動産やります。でも、手持ちがないんで、FXで増やしてきます」

そう言って投機に走っていって、みんな音信不通になるんです(笑)。

(次回は不動産投資のリスク管理について聞きます)

[(https://amzn.to/2YCpc4U)
■コロナ暴落で、アベノミクス以降の上昇相場は吹っ飛びました。高騰続けた不動産も下落。ただ、これはアベノミクス相場に乗れなかった投資家にはチャンスです。実力以下に売られすぎた株や物件に投資する大チャンスなのです。本書は、そんな割安になった状態から投資をはじめようとする投資ビギナーに、暴落後の投資手法、具体的に買えばいい銘柄をズバリ教える投資指南書です。

© 株式会社マネーフォワード