ハミルトン、完璧なポールを亡きヒーロー『ブラックパンサー』ボーズマン氏に捧げる:メルセデス【F1第7戦】

 2020年F1ベルギーGPの土曜予選で、メルセデスのルイス・ハミルトンはF1キャリア93回目、シーズン5回目、ベルギーでの6回目のポールポジションを獲得した。

 FP3では1分43秒255、予選Q1では1分42秒323、Q2では1分42秒014、Q3では1分41秒252で、土曜のすべてのセッションにおいてトップタイムを記録した。2番手のバルテリ・ボッタス(メルセデス)との予選タイムの差は0.511秒だった。

 8月29日、映画「ブラックパンサー」などで主役を演じたことで有名なアメリカの俳優チャドウィック・ボーズマンさんが、がんで43歳の若さで亡くなったことが発表されたことを受け、ハミルトンは土曜朝に追悼コメントを発表。

 予選ラップを終えてマシンから降りた際に、「ブラックパンサー」の中に出てくるワカンダ族の有名なポーズ(「ワカンダ・フォーエバー」と叫びながら胸の前で両腕をクロスする)を取り、ポールポジションをボーズマンさんに捧げた。

2020年F1第7戦ベルギーGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)がポールポジションを獲得

■メルセデス-AMG・ペトロナスF1チーム
ルイス・ハミルトン 予選=1番手
 今日のような日にポールを獲ることができたことに心から感謝する。今朝起きるなり、チャドウィック・ボーズマンのとても悲しいニュースを知った。とても謙虚な人物である彼は、黒人のアイコン的な役をいくつか演じてきた。

 子供のころの僕は、スーパーマンになりたかった。今の時代、黒人の若者たちにとって、自分たちと同じ見た目の、尊敬するスーパーヒーローが存在することはとても大事なことだ。

 心に重くのしかかるものを抱えているとき、ベストのパフォーマンスを発揮するのは簡単なことではない。ネガティブなことを振り払って、並外れたものに導いていくのは、正直言ってとても難しい作業だ。だがチャドウィックはそれが可能であることを示してきた。

 F1キャリアのなかでたくさんのラップを走ってきたが、今日のQ3での2周はほぼ完璧だった。走行中、外から顔は見えないだろうけど、ヘルメットのなかで、僕は笑顔だった。このコースはただただ素晴らしい。そこを限界ぎりぎりで走ることができた。

 僕らは早めにコースに出て行って、前があいている状態で走ることを決めた。トウを得ようとしても、ブロックされたり、イエローフラッグが出たりすれば、台無しになってしまうからね。間違いなく正しい判断だったと思う。

 明日は大変なレースが待ち受けている。レッドブル勢は金曜のロングランが好調だったようだ。でも今日はこのポールをチャドウィックに捧げることができて光栄だ。彼は僕にインスピレーションを与えてくれる存在だった。彼のご家族に対してお悔やみを申し上げたい。

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