高岡発の技術、宇宙で熱制御 月面探査機など想定

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 富山県産業技術研究開発センター(高岡市)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)などとの共同研究で、月面探査機や人工衛星を想定した熱制御機器を開発し、30日までに特許を出願した。3Dプリンターを使って熱伝導性と軽さを両立し、宇宙空間で機内の温度を一定に保つ。既に国内の宇宙機システムメーカーから引き合いがあり、高岡の技術が宇宙開発の一翼を担う可能性に期待が高まる。

 研究には、宇宙航空機器開発・製造のオービタルエンジニアリング(OEI、横浜市)も参加した。

 大気がなく、太陽光の影響を直接受ける宇宙空間は温度変化が著しく、月面温度は昼夜で120度からマイナス180度まで激しく変化する。

 宇宙機内の温度を一定に保つには周辺の環境に応じて熱を遮断し、寒い際には熱を蓄える熱制御機器の開発が課題であり、県産業技術研究開発センターとJAXAが2016年度から部品作りなどの基盤技術の開発に取り組んできた。

 8月中旬に完成した熱制御機器は、アルミ合金製で縦8センチ、横10センチ、厚さ2センチの長方体。内部は「フィン」と呼ばれる細い棒が複雑に配置された構造で、フィン以外の空間に蓄熱材を注入して使用する。

 蓄熱材が固体から液体に変わる時、大量の熱を吸収する性質を利用して周辺の温度をコントロールする。フィンを増やすと表面積が拡大し、熱を効率よく吸収できる。

 フィンを一体化した容器の成形にはアルミ粉末にレーザーを照射して造形する金属3Dプリンターを使用し、内部構造に独自の工夫を加えることで熱伝導性と軽量化を実現した。

 試作品は、熱を効率よく吸収するイメージから「SiSi(シィシィ)(宇宙の氷)」と名付けた。SiSiは「Structure—Integrated Space Ice」の略。

 今後、県産業技術研究開発センターとOEI、JAXAで性能試験を実施し、早期の実用化を目指す。センターの山本貴文主任研究員は「3Dプリンターを有効に活用し、新しいものづくりの発想を示していきたい」と話した。