活力ある島へ“継続” 五島市長選 野口さん、圧勝に感謝 「多くの方に支えられた」

支援者と「肘タッチ」で喜ぶ野口さん(右)=30日午後9時43分、五島市三尾野1丁目の選挙事務所

 島の将来像を巡り、舌戦が繰り広げられた五島市長選は30日、現職の野口市太郎さん(64)が新人の中西大輔さん(31)に圧勝した。新型コロナウイルス対策に配慮しながらの選挙戦となり「多くの方に支えられた」と感謝した野口さん。事務所が歓声と拍手に包まれる中、待ったなしの経済復興や人口減対策などの推進に向け、表情を引き締めた。
 県庁に30年以上勤め、2012年の市長選に出馬し初当選。無投票再選した2期目は人口減対策に力を注いだ。未曽有のウイルス禍が島内経済にも深刻な影響を及ぼし始めた今年3月、「活力ある五島市の未来を築く」と出馬を表明した。
 選挙期間中は街頭演説を40回以上重ねた。一貫して人口減対策を最重要課題と位置付け、雇用拡充や移住、子育て支援策などの成果と展望を示し、「継続」の必要性を説いた。今後の税収減など厳しい財政運営も念頭に、政治経験のない新人候補に対し、自身が長年培った行財政運営の経験を強調。自民、公明両党や地元の各種団体の推薦も受け着実に票を積み上げた。
 喫緊の課題である新型コロナの経済対策に加え、医療・介護体制の整備、交通サービスの維持、教育の充実など、以前からの難問も多い。「責任の重さに身が引き締まる。今後の4年間はコロナや人口減などとの戦い。産業振興を図り、市民の教育や生活を守る。公約の実現に向けて取り組む」と決意を述べた野口さん。新型コロナ感染防止に配慮して万歳はせず、支持者と一本締めで喜びを分かち合った。傍らでは、一番の理解者として野口さんを陰で支えた妻も深々と頭を下げていた。

 


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