父直伝の秘訣は「人を想う丁寧な作業」 若い世代が酒米づくりで奮闘 兵庫・加⻄

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兵庫県のほぼ中央にあり、温暖な気候により古くから、お米や野菜の生産で知られてきた加西市。特に、酒米の王者・山田錦の一大生産地です。お米作りに奮闘する若き就農者に、加西の農業の魅力をたずねます。今回は「株式会社 西脇農園」の、西脇真也さんにお話をうかがいました。

西脇農園は、ずっと真也さんの父・稔晃さんが個人事業として食米・山田錦の生産・販売を行っていました。名だたるコンテストで優勝を重ね、加西市の農業なら誰もがその名を知る存在です。4年前、息子の西脇真也さんが跡を継ぐべく就農することになり、西脇農園がどんな仕事をしているか打ち出すため、そして福利厚生を整えるために法人化し「株式会社 西脇農園」になりました。

夏空の下、青々とした山田錦が広がる。酒米の王者・山田錦の一大生産地である加西の原風景

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――梅雨が明けてから気温も高くなり、猛暑が続きますが、山田錦の様子はいかがですか?

もうあと1週間ほどで出穂(稲が出ること)になります。背丈は1メートルくらいまで育っていて、今のところ順調です。台風もまだ来ていませんし、まだ様子見ですが、このままいけば良いお米ができるんじゃないかと思います。

酷暑の強い日差しを受け、背丈1メートルほどに成長した西脇農園の山田錦

――4年前に就農して、今はお父様の西脇稔晃さんと二人三脚で歩んでおられますが、その前は地元の農協にお勤めだったそうですね。やはり、地元での就職にこだわりがあったんでしょうか?

大学から地元を出て独り暮らしを経験しました。そこで地元の住みやすさ、親のありがたみを実感したので、加西に帰って来たいという思いがありましたね。できるだけ地元に近い就職先を探して、縁あって地元の農協に就職しました。

――就農してイチから農業について教わると思うんですが、具体的にお父様からどんなことを教わりましたか?

あと2か月ほどで収穫の時期になるんですが、田植えをしてから田んぼには投資しっぱなしの状態になるんです。草刈りをしにいったり、肥料をふったり……お金をかけてきた田んぼで、元気に事故やケガなく収穫できるように、というのはずっと言われていました。そこでケガをすると、仕事ができなくなって、収穫できなくなって、収入がなくなるのは自己責任。だから安全を心がけなさい、と言われて、それは今も心の中に残っています。

――この暑いなかでも、草刈りを欠かさずされているんですよね?

人の財産を預かっている身分なので、それを大切にするのは親父が30年間続けてきたこと。なので自分もその意識を引き継いで、暑い中でも人のことを想いながら作業できるように、これからも頑張りたいです。

本格的な出穂(しゅっすい)期を前に、すでに穂が出始めていた。この大粒さが酒米の王者・山田錦の特徴。

――これからの西脇農園をどのようにしていくか、未来へのビジョンはありますか?

自分が跡を継いでから法人化したので、できるだけ自分の代で作った会社を長く続けること。息子がどう思うかはわかりませんが、息子みずから「自分もやってみたい」と言ってもらえるような農業をしていきたいと思います。

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西脇農園の山田錦は、地元の蔵元である富久錦などで、おいしい日本酒になっています。3年前からは、1つの田んぼからできた山田錦で1つの日本酒をつくる、という取り組みも富久錦さんと一緒に進めています。そうしてできた日本酒のラベルには、西脇農園の田んぼの番地まで入り、まさに地元のつながりから生まれたお酒となっています。

地元の蔵元に納めているからこそできる、純・加西産のお酒は、お客さんからの声もダイレクトに届いてくるそうです。西脇さんは、地元の方からの声が励みになり、とてもうれしいことだと言っていました。

コロナ禍でも、細やかな作業と山田錦にかける愛情は変わらない、「株式会社 西脇農園」の西脇真也さん。この田んぼの山田錦が、地元の蔵元・富久錦で、一つの日本酒となり番地入りで販売される

※ラジオ関西『PUSH!』2020年8月26日放送回、加西山田錦「農ライフ!」より