監督交代のオリックス 専門家が語る、後半戦での投打のキーマンとは

オリックス・中嶋聡監督代行【写真:福谷佑介】

野球評論家の野口寿浩氏は長打力のある打者と3番手投手の台頭を鍵にあげた

オリックスがホームでロッテを5-0で下し、連敗を5でストップした。これで8月までの前半戦62試合を終え、20勝38敗4分の最下位。西村徳文監督から中嶋聡監督代行への交代後は9試合で4勝5敗と、やや状態は上向きつつある。では、オリックスが後半戦で巻き返しを図るために必要なことはなんだろうか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手として活躍し、18年までヤクルトで2年間バッテリーコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は、長打力のある打者の成長と、山岡、山本に続く3番手の先発投手台頭を挙げた。

オリックスはここまで(30日時点)、チーム打率はリーグ最下位の.241、得点は最下位の215点で、323得点でリーグトップの楽天とは大きな差が開いている。長打率もリーグ最下位の※.352。一方、チーム防御率はリーグ4位の4.25も、失点はリーグ最下位の276点となっている。チームの勝ち頭は山本と、この日7回無失点の好投をみせたアルバースの3勝。投打ともに苦しんでいる現状を、野口氏はこう分析する。

「オリックスは得点力不足でここまで沈んでいる。西村監督の時は打線は福田のような、同じようなタイプが多く、小粒感が否めなかった。それが、中嶋さんが監督代行になって、中川、杉本を使うようになった。まだ思うような結果は出ていないが、大きい当たりも打てる選手を打線に入れていきたいのかなと感じる」

中嶋監督代行は当初、2年目の中川を4番で起用していたが、29日の試合から3番とし、吉田正を4番に据えた。では、中川の打順について野口氏はどう見ているのか。

「中川は4番の時はあれ? って感じだったが、3番に入れ替えてからは(2試合で3安打と)調子が上向いてきた。まだ短期間なので、3番が向いているのか、たまたま打っているのかは分からない。ただ、1年間かけて育てたいなら吉田正とジョーンズの間に置いて、2人がフォローしてあげる育て方もある。吉田正はよく出塁するから、中川は彼を返す役割を背負う。もし返せなくても後ろにはジョーンズがいる。その中で成長していけると思う」

野口氏の注目は190センチ杉本「体が大きいから期待したくなる」

中川はプロ1年目の昨年は111試合に出場し、105安打、3本塁打、32打点と結果を残した。今季は8月を終え打率.155と苦しんでいるが、2軍では23試合で打率.317、3本塁打、23打点と活躍しており、2軍監督として間近で中川を見ていた中嶋監督代行の期待も大きい。

さらに野口氏が注目するのは190センチ、102キロの杉本だ。杉本は監督が交代した8月21日に今季初めて1軍に昇格。右翼のスタメンとして起用され続けている。ここまで3安打、打率.120と結果は出ていないが、野口氏は杉本について「体が大きいから期待したくなる」といい「素材的にはいい選手は結構いる。これから後半戦、彼らが1軍を経験していけば、来年楽しみな存在になってくる。この中にベテランも入ってきたら面白いと思う」と相乗効果を期待する。

一方、投手陣は「山岡、山本の2枚看板に続いていける3人目の先発が必要」だという。「日本人の若手が出てくるのが一番いいが、今日投げたアルバースは、それまでのつなぎの役割を担える」。この日のアルバースは7回を投げ、6安打無失点の好投。6三振を奪い、ロッテ打線に三塁を踏ませなかった。

カナダ代表としてWBCにも2度出場しているアルバースは、来日1年目の18年は9勝2敗、防御率3.08と結果を残した。昨年は2勝6敗、防御率5.83と苦しんだが、今季はここまで3勝5敗も、防御率は3.62。野口氏は助っ人左腕についてこう解説する。

「打者が差し込まれる直球を自信を持って投げている。内角の直球で三振を奪っていたが、あのくせ球があると、相手はチームとして直球をノーマークにはできない。そうなればいろんな球種が生きてくる。いいボールを1つ持っていると武器になる。去年はボールの使い方を研究されていて結果が出なかったが、あのキレのいい直球があるので、変化球の使い方が鍵になる」

投打で新たにチームを引っ張っていける新戦力が台頭していけば、後半戦、そして来季に向けて面白い存在となりそうなオリックス。すでに自力Vは消滅しているが、後半戦の戦い方にも注目だ。(Full-Count編集部)

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