水害リスクの説明義務化 住宅購入、入居の契約時

不動産取引で活用されることになった水害ハザードマップ。自治体のウェブサイトでも確認できる

 不動産取引時に水害ハザードマップを用いて宅地や建物の浸水リスクを説明することが、8月から義務付けられた。近年相次ぐ大規模水害を踏まえた取り組みで、住宅の購入・入居希望者に危険性を認識してもらうため、契約を結ぶ前の重要事項説明の中で伝える。

 これまで重要事項説明の対象となる災害リスクの情報には、土砂災害と津波の警戒区域があったが、国土交通省は7月に宅地建物取引業法(宅建業法)の施行規則を改正。水害ハザードマップを使った物件所在地の説明を追加し、8月28日に施行した。

 具体的には、水防法に基づいて作成された河川洪水のハザードマップだけでなく、ゲリラ豪雨による市街地などでの内水氾濫、高潮のマップを住宅の購入希望者らに提示し、物件の位置を説明する。マップに記載されている避難所の位置も示すことが望ましいとしている。

 ハザードマップの活用について国交省は、昨年7月から不動産関連団体に協力を求めてきた。「雨の被害が深刻化し、水害のリスクを認識することの重要性が高まっているため、さらに徹底する必要がある」(不動産業課)として義務化に踏み切った。

 水害ハザードマップを巡っては、近年の豪雨災害の多発を受け、最大級の雨による洪水で浸水が想定される範囲を表示することが求められている。県内の市町村も改定作業を進めているが、河川や地域によっては、まだ完了していないケースもある。

 国交省不動産業課は「説明に際しては、入手可能な最新のマップを使ってもらう。まだ作成されていない場合は完成次第、活用してもらいたい」としている。

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