鉄道業界初、堀江車輌電装が車両整備作業をデジタルマニュアル化

首都圏の私鉄各社の鉄道車両整備と点検を行う堀江車輌電装は、車両整備の作業工程を業界で初めてデジタル化した「デジタルマニュアル」を導入。

今回は、ユニットブレーキの分解・洗浄・組み立ての127におよぶ作業工程をデジタルマニュアル化。鉄道業界初の試み。

堀江車輌電装製デジタルマニュアルは、マイクロソフトが開発したゴーグル型のヘッドマウントディスプレイ「ホロレンズ」を採用するため、同社が独自のアプリケーションソフトも開発した。

従来の紙のマニュアルは、約20ページで構成。この紙マニュアルがつくられたときと現在とでは作業内容の一部の手順が違っていた。

また、記載されている作業内容以外でも、熟練技術者から口頭で伝達されていた作業やコツなどが存在していたうえ、紙のため現場うまくめくれず「使いにくい」という声もあった。

今回、堀江車輌電装がデジタルマニュアルを導入したことで、下記のようなメリットを体得したという。

◆教育担当者が現場を離れられないときでも新人ひとりでも作業内容を学べる。

◆作業工程の一部分だけを復習することができるため効率よく覚えられる。

◆作業を何度でも繰り返し確認することができて、技術の習得が早くなる。

◆工場以外の場所、例えば本社の会議室などでも研修できるという点で、社員研修の幅を広げることもできる。

◆作業場所に固定し、作業をしながら、工具と手順を学べる。部品の向きなども文字で補足している。

◆現場の空間に画面を固定したり、工場内を動き回る際に画面も一緒に動したりできる。

堀江車輌電装は創業以来、鉄道事業者の車両整備を請け負う事業を展開。この事業は熟練の技術者に支えられ、若年層で技術職を選ぶ人材が減少。技術承継と人材の確保が課題だった。

そこで最新デバイス ホロレンズを使い、作業工程のデジタル化を推進。技術の承継を的確に行えるようになり、車両整備技術精度の向上・維持を実現させた。

また、社員教育への活用で、若年層の人材に対して、技術職への興味を持たせるきっかけも創出した。

今後は、社員の作業内容を遠隔で確認・指示したり、作業内容の評価などでも採用する。

さらにほかの整備内容についても、今後3年をめどに順次デジタルマニュアル化する構え。

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