軍事大国アメリカらしい企業の取り組みとペンタゴン豆知識

軍事大国アメリカでは「ペンタゴン(軍隊)式」と呼ばれるものが、あらゆる領域に数多く存在する。なかでも特にメンタル・トレーニングの領域は、ビジネスパーソンにも人気が高い。国防総省の現役キャリアが、そんなペンタゴン式「心の鍛え方」を指南する!

 アメリカは言わずと知れた軍事大国である。政府機関はもちろんのこと、民間にも軍事関連企業が多く、その規模は他国の追随を許さないほどだ。そんなアメリカ合衆国の軍事国防を統括するのが国防総省、通称「ペンタゴン」と呼ばれる組織である。この連載ではペンタゴン式のメンタル・トレーニングを主に紹介していく予定だが、第一回目はペンタゴンという組織について少し紹介したい。

 ペンタゴンは首都ワシントンD.C.から至近のバージニア州アーリントン市に本部を置き、軍の管理を含む国防全体に関わるミッションのすべてを管理する組織だ。ペンタゴンの名の由来は、本部の建物の形がペンタゴン、つまり五角形を模っているため。この名称は本部ビルだけを指すと思っている人が多いようだが、実際には五角形の本部に象徴される政府軍事関連機関・国防総省の「総称」である。国防総省は英語で「Department of Defense」なので、この頭文字を取って「DoD(ディー・オー・ディー)」と呼ぶことも多い。

 ペンタゴンは、とにかく想像を絶するほどの大きな組織だ。誤解している方が多いようだが、アメリカにおける国防(軍)のトップは、国防長官ではなく、合衆国の大統領である。大統領の直下に国防長官室があり、その下にさらに細分化された内局が存在する。傘下の軍を入れれば関連組織は世界中に点在し、従事する人間の数はなんとアメリカの人口の1%にあたる320万人を超える。ペンタゴンは現状、世界で最も巨大な組織なのである。

 また、それだけ巨大な組織には、ビジネスチャンスを求めて群がる企業が多いことも想像に容易だろう。ロッキードマーティン社やボーイング社といった、武器や戦闘機を製造する類の直接的な軍事関連企業ならずとも、ペンタゴンを取引先にしたい一般企業は山ほど存在する。そのため一般企業でも、軍事関係出身者を積極的に雇い入れる企業も少なくない。例えば誰でも知っているような世界企業を例にとるなら、マイクロソフト社はその良い例だろう。もっともマイクロソフト社の場合は、退役や除隊した軍人のためのセカンドキャリア(第二の人生支援)プログラムの一環としての積極採用である面も大きいが、「Microsoft Military Affairs」というプログラムがあるということは、恐らく日本ではほとんど知られていないのではないかと思う。

参考『Microsoft Military Affairs HP』:
https://military.microsoft.com/about/

参考『Microsoft Military Affair Youtube Channel』:
https://www.youtube.com/channel/UCyZwdMDICciUMxEezfHnkRQ

 こうしたペンタゴンにかかわる情報も交えつつ、次回からはペンタゴン式メンタル・トレーニングについて、ゆっくり語っていこうと思う。

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