WorldRX第3戦/第4戦:クリストファーソン先勝。地元グロンホルムも今季初優勝

 開幕戦に続き連戦となった2020年のWorldRX世界ラリークロス選手権の第3戦、第4戦のダブルヘッダーがフィンランドのコウボラを舞台に8月29~30日に開催され、土曜は2017-18年王者ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)が全ヒート勝利の“クリーンスイープ”を達成し今季2勝目を挙げた。日曜はニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20 RXスーパーカー/GRXタネコ)が地元戦でシーズン初優勝を飾っている。

 隣国スウェーデンにあるラリークロスの“聖地”ホーリエスで迎えた2020年の開幕戦に続き、バック・トゥ・バックとなったシーズン第3戦は、開幕ウイナーでもあるクリストファーソンが予選ヒートから他を圧倒する速さを見せつける。

 前戦で勝利を分け合ったマティアス・エクストローム(アウディS1 RXクワトロ)や、そのチームメイトであるKYBチームJCのロビン・ラーソン(アウディS1 RXクワトロ)らを抑えて4つの予選ヒートすべてでトップタイムを記録すると、TQ(top qualifier)として挑んだセミファイナル1でも2019年チャンピオンのティミー・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/チーム・ハンセン)を従えトップチェッカー。順当にファイナル進出を確定させる。

 一方、セミファイナル2で輝きを見せたのが地元ドライバーのユハ・リットコネン(ヒュンダイi20 RXスーパーカー)で、GRX SETチームから参戦する新鋭は予選を全体の4位で通過すると、ケビン・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/チーム・ハンセン)やティモ・シャイダー(セアト・イビーザRXスーパーカー/ALL-INKL.COM ミュニッヒ・モータースポーツ)らを抑えてセミファイナル2を制圧。悲願のファイナルへと駒を進めた。

 すると6周の最終決戦で元王者に喰い下がったリットコネンは、唯一クリストファーソンに伍するスピードを披露し、通算22勝目を飾ったウイナーの約3秒後方でフィニッシュと健闘する。3位攻防戦を繰り広げたディフェンディングチャンピオンのティミーや、WRC世界ラリー選手権王者の血を引くニクラスらを従え、殊勲の2位表彰台を獲得した。

「本当に幸せだ。チームは最高だし、こんな好リザルトを残せるなんて予想もしてなかったよ。ファイナルでは全力でプッシュし続けたし、無線でトピ(WorldRXやGRCで活躍したトーマス・ヘイキネンの愛称)から情報を送り続けてもらって、それが本当に助けになったんだ」と喜びを語ったリットコネン。

土曜は2017-18年王者ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)が全ヒート勝利の”クリーンスイープ”を達成
開幕戦の不振から脱却し、地元ドライバーのユハ・リットコネン(ヒュンダイi20 RXスーパーカー)が殊勲の2位獲得

■王者を完璧に押さえ、うれしい母国ウイン

 続いて雨混じりのコンディションとなった日曜の第4戦もクリストファーソンの速さは衰えることを知らず、予選Q1、Q3、Q4で最速タイムを奪取。唯一、ポロのエンジンがミスファイアを起こしたQ2のみ、ニクラスが今季初のセッショントップを得ることとなった。

 Q3開始前から強まった雨脚によりマッドコンディションと化したセミファイナル1は、クリストファーソン、エクストローム、アンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/モンスターエナジー・GCK RXカルテル)のトップ3となり、一方のセミファイナル2からはニクラス、ティミー、そしてもう1台のヒュンダイとなるティマー・ティマジャノフ(ヒュンダイi20 RXスーパーカー/GRXテネコ)という顔ぶれがファイナルへと進出する。

 そのファイナルでは、スタートで有利な位置にいたポールシッターのクリストファーソンを出し抜き、ニクラスがトップで1コーナーへ。難しいコンディションにも関わらず抜群のトラクションを掛けたニクラスは、スリッパリーな路面でリードを拡大していく。

 3周目にジョーカーを消化したクリストファーソンに対し、首位ニクラスも最終ラップでこれを終えると、エクストロームを鼻先ギリギリの1秒差で抑えてフィニッシュラインへ。WorldRX通算3勝目を、地元フィンランドで飾るうれしい今季初勝利となった。

「後続の猛者たちが僕をタイトな方へ押し込むだろうという予測があったから、スタートではインサイドを死守した。ただ真っ直ぐに加速するだけで良かったし、その後もミスをせず落ち着いてドライブすることを心掛けた。完璧なコントロールで勝つことができて本当にうれしいよ」とニクラス。

 一方、最終ラップの最終コーナーでクリストファーソンを仕留めたエクストロームに対し、このバトルでわずかに失速した2017-18年王者は、チェッカー目前でティマジャノフにもかわされ4位に終わり、今季初めてポディウムを逃す結果となっている。

 2020年のWorldRX世界ラリークロス選手権第5戦と第6戦も、同じ週末のダブルヘッダーが予定され、9月19~20日にラトビア・リガのビチェルニエク国際スポーツベースを舞台に争われる。

日曜も好調を維持したユハ・リットコネンだが、惜しくもセミファイナル1通過はならず
「プレッシャーは感じたが、リードした後はコントロールに徹した」と語ったRd.4勝者のニクラス・グロンホルム

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