コロナ相場とどう向き合う? 資産2億円の兼業投資家が考える「買い時」

兼業投資家の東条駿介さんは、ITバブルやリーマンショックなど数々の暴落を生き抜いてきました。今回は、コロナ後の不動産・株式相場と、会社員や公務員だからこそ発揮できる強みについて聞きました。


物件購入のタイムリミットを意識

――ずばりお聞きしますが、不動産や株の相場は、今後どうなるでしょうか。

ずばり聞かれたので、ずばりお答えしますが、わかりません(笑)。

そもそも相場は読めないものですが、とくにいまは方向性がありません。

ただ、いずれ買う予定なのだとしたら、その時を想定して、準備しておくことが大事だと思います。

不動産なら、良さそうな物件を探しはじめたり、どんな物件で、どれくらいのリターンが見込めるか分析したりすることができます。条件を決めて、不動産屋に相談してみるのも良いですよね。または「不動産購入を検討しています」と伝えて、金融機関に融資について聞いてみることもできると思います。

――わからないことが多い中でも、できることはありますね。

そう思います。また、わかっていることもあります。

絶対とは言えませんが、金利がいきなり3%とか4%にはならないでしょう。3%、4%に上がるなら預金で十分ですので不動産投資をする必要性は下がります。そうならないということは、不動産に限らずですが、投資をうまく活用していく必要があるということです。

また、会社員や公務員の場合、金融機関が融資してくれるのは本業がある状態の時です。そう考えると、定年から逆算して買うタイミングのタイムリミットも見えてきます。例えば、60歳が定年で10年ローンで買うなら、50歳までに買うという計画が立つわけです。

――地価相場だけでなく金利や自分の年齢なども見ながら買うタイミングを考えるのですね。

待てる人は待った方が良いと思います。なぜなら、地価は上下を繰り返しますので、いつかはわかりませんが、いつかは下がるからです。

一方、「ローンが組めるうちに買う」というタイムリミットがあるなら、1室くらい持っておく手もあると思います。表面利回りで4〜5%だと手残りしにくいのですが、不動産投資は銀行が投資資金を出してくれます。このメリットは兼業投資家ならではのものですから、そこはなるべく生かしたいですよね。

高値更新を見据えて買う戦略もアリ

――株式相場の今後はどう見ていますか。

不動産よりも予測が難しいですね。

とくに本業を持つ兼業投資家の場合はこの状況を理解するのに苦労すると思います。足元では会社の業績が伸び悩み、むしろ減収減益に向かっているところが多い一方で、株価はほぼコロナ前の水準まで戻っているわけですからね。

――こういう相場ではどんな戦略が考えられますか。

兼業投資家の場合、基本はバリュー株や優待銘柄狙いでしょうね。周りの投資家を見ると、飲食系の優待銘柄を持っている人が多いせいか「戻りが悪い」という話を聞きますが、優待狙いの投資家が多いオリエンタルランド、カゴメなどが優待を廃止するとは思えないので、キャピタルゲインは取れないにしても、火傷はしないのではないかなと思います。

利回り狙いならインフラファンドなどは下がれば7、8%になるので、そういう銘柄は狙い目かもしれません。

手垢がついていない直近のIPO(新規公開)も高値をとっている銘柄が多いので、初値買い、新高値での買い、少し下がったところで思い切って買う戦略もあると思います。

基本的には地合いが良いので、リートのPO(公募増資)の応募もありですね。もちろん、相場の見通しが悪いのでそれほど長くは持てないと思いますが。

――買えそうな銘柄なら買っても良さそうですか。

もしかしたらですが、大胆な経済政策や大幅減税などがあって、日経平均株価が26,000円とか27,000円の水準まで上がるかもしれません。そういう可能性がゼロではないと考えると、機会損失を避けるという意味で、少しくらい買っておくのも良いかなと思います。

ただ、分散も考えた方が良いと思います。投資家は神ではないので株価の天底を当てることはできません。明確なバブル相場なら大きく買ってもいいのですが、不透明な時はエントリーもエグジットもタイミングを分ける時間分散を考えたいですよね。

積み立て式で買っていくのも分散になるので、例えば、米国株を機械的に買っていく方法なども良いと思います。

勝ちやすい時を「待てる」メリットを生かす

――3月の底値から見ると「今買うのは高値つかみか」と警戒する人もいます。

相場は多少なりとも運が作用しますので、3月末の水準で買えた人はラッキーだと思います。

逆に運が悪い人もいて、買った直後にリーマンショックがきたり、震災が起きたり、今回についても年始から始めてコロナショックに巻き込まれることがあります。

これは避けようがないリスクですから投資をする以上は受け入れなければならないでしょうね。

その点から見ても買うタイミングを分散させることが大事ですが、可能な限り損したくないのであれば、9月か10月くらいまで様子見するのも良いと思います。

秋くらいには多少は相場の方向性が見えてくるかもしれません。各企業もコロナリスクとどう付き合っていくか方針を打ち出してくるでしょう。

――全体の流れを見ておくわけですね。

はい。実際に買わなくても相場と向き合っていれば、「下げ相場でもこの銘柄は強い」とか「この優待株は戻りが悪い」とか、銘柄選択のヒントが見えてくるものです。強かったり弱かったりする理由がわからなければ、分析記事はウェブ上にもたくさんあります。「なんでだろう」で終わるのではなく、もう一歩踏み込んで考えてみることも大事だと思います。

また、日本はネット証券などが発達していて投資環境が良い国です。投資先のチャンネルも多いので、iDeCoやつみたてNISAなどを使ったり、金や米国株を買っていくこともできます。最初に条件さえ決めてしまえば、その先は自動的に買ってくれますし、それも相場に参加していることになります。

――投資の幅を広げることが大事ですね。

はい。難しい時に無理して売買する必要はありません。忙しい時は休めば良いと思います。

個人投資家はディーラーと違って「待つ」という選択肢があります。そこを生かすことも本業を持つ人の特権だと思います。

また、今年の下半期がどうなるかはわかりませんが、待っていれば誰でも勝てる相場がくるものです。様子見しつつ、損しにくい相場を待つことも大事です。

――損するとメンタルにきますよね。

私は相場経験が長い方ですが、それでも朝から10万円ヤラれたりすると、顔にでて、部下に「どうしたんですか?」と心配されるくらい、その日はやる気がなくなります(笑)。

これから投資を始める人や始めたばかりの人は、最初に損をすると投資がつまらなくなってしまうでしょう。株、不動産、その他にもいろいろチャンスはあるのですが「預金でいいや」となってしまいます。

それはすごくもったいないことです。

投資は長く続けることが大事ですから、次につなげ、投資の幅を広げていくという点でも、兼業投資家の「待てる」利点を生かしながら、うまく付き合っていってほしいですね。

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