カープ田中広輔選手 クラスター発生の母校へマスク贈る

校内に張られた田中広輔選手のポスターの前で、届いたマスクと除菌ジェルを持つ外村美佳校長=厚木市立依知南小学校

 8月に新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した厚木市立依知南小学校(同市下依知)に、プロ野球広島東洋カープの田中広輔選手からマスク3250枚と除菌ジェル500ミリリットル入り40本が届けられた。

 田中選手は同校の卒業生で、試合で横浜を訪れた際に母校のクラスターを知り寄付を思い立ったという。同校は今月3日、全児童495人にマスクを5枚ずつ配った。

 同校では、20代の男性教諭の感染が確認された8月5日を皮切りに、児童15人と教員5人の感染が次々と判明した。その後、ほぼ全ての児童と教員のPCR検査を実施。検査結果を待っていた同21日、田中選手のトレーナーから外村美佳校長に電話が入った。「田中選手が母校のクラスターを知って、マスクや消毒薬を送りたいと話している」との申し出だった。

 当時はまだ全員の検査結果が出ておらず、保護者からは事態を心配する電話も入っていた。「不安でいっぱいだったところに、田中選手から心配していただきとても感動した」と外村校長。トレーナーには「田中選手のお心が大変うれしいです」と伝えたという。

 田中選手は同校から市立依知中学校を経て東海大相模高に進学し、甲子園にも出場した。カープでは主力選手として活躍している。読売ジャイアンツの田中俊太選手は弟で、やはり同校の卒業生だ。

 同31日、段ボール箱にいっぱい入ったマスクと除菌ジェルが学校に到着。9月2日には、田中選手から球団の広報を通じて「まだまだコロナで大変だと思いますが、今できることを一生懸命に取り組み、夢を持って頑張ってください!」との激励コメントも届いた。

 同校は他の市立小中学校より遅れ、8月27日から2学期をスタート。感染した児童、教員計20人はいずれも回復し、全員が登校している。

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