台風9号 世界遺産や県天然記念物など、文化財も被害

強風の影響で外壁の一部が剥がれ落ちた旧五輪教会堂=五島市蕨町(同市提供)

 台風9号が通過した長崎県内では3日、五島市や対馬市などの離島を中心に、世界文化遺産の関連施設や県天然記念物の樹木など、文化財の被害も確認された。
 五島市では、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」の構成資産「久賀島の集落」にある旧五輪教会堂(国指定重要文化財)で、しっくいの外壁の一部が剥がれ落ちたり、飾り窓のガラス数枚が外れて落ちたりした。教会堂前の桜の木も根元から折れたが、建物には当たらなかった。
 対馬市では、上対馬町琴の長松寺境内にそびえる県天然記念物「対馬琴のイチョウ」(幹回り約14メートル、高さ約40メートル)の枝が折れた。琴地区在住の会社員、米田大地さん(30)は「大人の胴ほどの枝が落ちていた。葉も傷んでおり、今年の紅葉は期待できないだろう」と肩を落とした。
 また同市厳原町西里にある国指定史跡「対馬藩主宗家墓所」の石灯籠が倒れ、市教委文化財課の担当者は「石灯籠は割れてはいなかった。台風10号の通過を待ち、国に文化財き損届を出した上で復元したい」と話した。

折れた県天然記念物「対馬琴のイチョウ」の枝=対馬市上対馬町琴(3日午後6時55分)

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