巨人にとっていいことづくし…専門家絶賛の原監督のマネジメント力とは?

巨人・原辰徳監督【写真提供:読売巨人軍】

ヤクルトなど4球団で活躍した野口寿浩氏が巨人の選手交代策を絶賛

■巨人 13-4 DeNA(3日・東京ドーム)

巨人は3日、DeNAと本拠地で対戦し、2回まで13得点を奪う猛攻。13-4で大勝し、5連勝。貯金を17に増やした。巨人・原辰徳監督は2回で12点のリードを奪うと、13連戦の3戦目という過密日程を考慮し、早々と坂本ら主力を下げ、若手を次々に送り込んだ。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で活躍し、18年までヤクルトで2年間、バッテリーコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は、大阪への移動ゲームとなる翌日の阪神戦に備えた原監督の采配について「巨人のいいところしか目につかない試合になった」と振り返った。

巨人はこの日、1点ビハインドの初回、岡本の右前適時打などで3点を奪って逆転すると、2回には松原のプロ1号右越え3ラン、岡本の8月19日以来となる19号右越え2ランなど5連打で先発のパットンをKO。2番手の武藤にもたたみ掛け、合計10点を奪うと、指揮官は坂本、亀井を下げて増田大、若林を投入。3回には中島にも代走として重信を送り、4回には岡本、丸に代えてウィーラー、北村を出すと、8回からは捕手の大城に代え、岸田も起用する交代策。巨人ベンチの先を見据えた采配を、野口氏は絶賛した。

「すごく早い回に選手を交代させたけど、これは13点がもたらした効果。翌日、(阪神戦のための)大阪移動がある中で、ベンチとしては少しでも早く、主力を休ませたいところだった。大量リードがなければ、あそこまで早い交代はできない。しかも、どの選手も打っているから気持ちよく交代できる。亀井クラスのベテランになれば気にならないが、坂本も丸も今季は出だしが良くなくて、ようやく調子が上向きになってきたところ。岡本も久々の本塁打だった。打てないで交代すると、気持ちもモヤモヤするが、打って交代だとメンタル的にもいい」

野口氏によると、原監督のこの交代策は、レギュラー陣だけでなく、控えの野手陣にとってもメリットがあったという。この日、途中出場した6人の野手のうち、5人が2度、打席に立った。普段、終盤の守備固めや代走で出場する選手たちにとって、1試合で2度打席に立てるのは貴重な機会。その中で、増田大が安打を放つなど、若手にとっては絶好のアピールの場にもなった。またこの日はスタメン起用だった松原も、プロ1号本塁打で存在感を放った。

普段は守備固めで出場する選手もアピール「監督、コーチをもっと悩ませるくらいに」

「今日は12点のリードを守ればいいという試合。若手の選手たちは、普段守備固めで出ている選手たちだから守備力は上がるし、その中で結果を残した選手もいた。増田大は足で自分のポジションを築いた選手だが、この日は打席でもヒットを打った。松原の本塁打も良かった。高めの直球に対し、少し上からヘッドを立てて打った。ああいう高さのボールをポップフライにすると、次のチャンスがなくなる時もあるが、あれを打ったことでしばらく使ってもらえて、もっとチャンスが回ってくる」

そして、こうした若手の競争が激化していけば、ほかの選手への刺激にもなり、相乗効果になると野口氏は指摘する。

「他のメンバーももっと結果を出していかないと、投手を1枚増やしたり、違うタイプの野手を上げようという話になった時に、2軍に落とされてしまう。スタメンを決める時に、監督、コーチをもっと悩ませるくらいにならないといけないし、そこで競争が生まれる」

この日、原監督は有事に備え、捕手の炭谷、内野手の吉川大の2人をベンチに残し、残りの野手6人全員にチャンスを与えた。一方で6回には1死一、二塁のチャンスで降板予定の田口に打席が回ると、代打を送らず、そのまま打席に立たせ、7回のマウンドに沼田を送り込む余裕もみせた。結果は三振に終わり、追加点とはならなかったが、大量リードの余裕があったからこそできた、メリハリの効いた采配だった。

東京ドームでのDeNA3連戦の後は、甲子園での阪神4連戦、ナゴヤドームでの中日3連戦、そして東京ドームに戻ってのヤクルト3連戦と試合が続く巨人。この日、原監督がレギュラー陣に積極休養を与えた効果は、この先の3カードで出てくることになりそうだ。(Full-Count編集部)

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