語学学習者必見!Jリーグ通訳たちがコロナ禍で始めた「Twitter戦略」とは

Oi gente tudo bem ??(やぁ皆さんお元気ですか?)

明治安田生命Jリーグ、ファジアーノ岡山の平安山(へんざん)です!

チーム内では通訳をしたり、強化をしたり、今回のように執筆をしたり色々な事をしています。

将来はJクラブのGMやサッカー協会・Jリーグ本部で広く日本サッカー界に貢献出来る事を目指して、様々な分野の経験を積みたいと考えています。

さて、私の仕事の中でも大きな割合を占める通訳ですが、「人と人を繋ぐ」仕事である通訳において、コロナ禍の「ソーシャルディスタンス」や「3密」はまさに超重要課題。

練習や試合を再開した現在も注意深く仕事をしていますが、特に4月や5月は基本的に自宅待機ということで、通訳の仕事のやり方にも変化がありました。

自宅にいながらコンディションを保つというのは非常に難しいタスクでしたが、ファジアーノ岡山を含む多くのクラブがオンラインで自宅トレーニングを行うなど、出来る事を模索しながら進めていました。

ファジアーノ岡山では筋トレ以外にもミーティングやお家時間の過ごし方の共有など、メンタル面やコミュニケーションの部分にも気を遣って取り組みました。

リモートでの筋トレやミーティングではZoomを使用していたのですが、私が同時通訳をしてしまうとブラジル人選手だけでなく全員に翻訳が届いてしまい少し煩雑になってしまうので、私はZoomの音声をミュートにし、代わりにLINEやブラジルのWhatsAppの通話機能でブラジル人選手に翻訳を届けていました。

タイムラグがあるので同時通訳の難易度は上がりましたが、非常に良い経験となりました。こういったリモートワークで得たノウハウは、コロナ禍が終わった後も活きてくると感じています。

そんなリモート時代のJリーグ通訳ですが、クラブを少しでもサポートするため、チーム活動以外にも努力を始めた通訳たちがいました。

ジュビロ磐田の通訳グループは語学を学べるツイート企画を始め、SNSでファンとの交流を図りました。

語学を学びたい方はチームのファンでなくとも沢山いらっしゃるので、より多くの方々に貢献し、興味を引いたのではないかと思います。

仕事や受験、留学に語学を勉強したい方はサッカー好き以外にも沢山います。

一般の商品やサービスにも言える事ですが、こういった「サッカー好き以外にも好まれる」というのは、結局はサッカーを好きになってもらうキッカケとして重要なビジネスハックだと思います。

今回はそんなソーシャルディスタンスとリモートワークの時代を生き抜くJリーグ通訳から、ジュビロ磐田英語通訳の野田氏、鹿児島ユナイテッドFCポルトガル語通訳のダニーロ氏に「コロナ禍の通訳のTwitter戦略」についてお話をお伺いしました。

選手とサポーターの架け橋に ~ジュビロ磐田・野田通訳~

まず、コロナ禍にSNSで面白い取り組みをしたクラブと言えば、ジュビロ磐田が上がります。

野田智裕通訳(英語)を船頭に、濱邉健太通訳(スペイン語)、ガブリエル通訳(ポルトガル語)らが「語学を学べるツイート企画」を行いました。

監督を含め外国人が多く、通訳も4人いるジュビロ磐田。SNSの使用も積極的です。

どんな思いがあり、なぜTwitter企画を始めたのか?野田英語通訳に聞いてみました。そこには For the teamの精神が垣間見えました。

――野田通訳と言えば、高校・大学ではそれほどサッカーに打ち込んだわけでもないと自ら語っているにも関わらず、一念発起して8ヵ国でプロテスト挑戦の後、フィリピン2部で得点王になるという異色の経歴をお待ちです。そんな方がこのコロナ禍のタイミングで外国語を紹介するTwitter企画をスタートした目的は何だったのでしょうか?

新型コロナウイルスの影響でJリーグも開催できない中で、選手やクラブがそれぞれ今できる行動を起こしているのをSNS等で見ていました。

そうしたなかで、私自身も何かできないかと考えた時に「サッカー」と「語学」という私自身の特技を使うこと、そしてサポーターの方に言葉を知ってもらうことで外国人選手に声をかけやすくなればと思い、外国語紹介Twitter企画を始めることにしました。その際に、通訳仲間の健太とガブにも協力してもらい、3言語でスタートしました。

※野田通訳のTwitter。ガブリエル通訳はTwitterがないので、代わりに野田通訳がツイートしています。

――ジュビロ磐田の通訳はTwitterに積極的な印象を受けますが、狙いがあるのでしょうか?

私個人としてはSNSを更新することは好きなので、前所属の徳島ヴォルティス時代から #通訳目線 というハッシュタグで外国人選手の情報を発信していました。ほとんどがどこかに出かけた時のものですが、徳島県内を満喫している姿をサポーターの皆さんに喜んでいただけたようです。

ジュビロ磐田に来た際もTwitterに関しては特に制限されるようなことは言われなかったので、以前と変わらずに発信していますし、何かあれば広報に相談したりして、サポートしてくれています。外国人選手と行動を共にすることが多いので、外国人選手が日本を満喫している姿を通訳からの目線で今後も伝えていけたらと思っています。

※野田通訳から誘われてスタートした、濱邉健太通訳(スペイン語)のTwitter。

――野田通訳のTwitterから選手の素顔が見れて親近感が湧いた、なんてサポーターの方もいらっしゃると思います。逆に気を付けている事はありますか?

個人アカウントではありますが、やはり「ジュビロ磐田の通訳」として見ている方が多いと思うので、サポーターの皆さんが喜んでくれる、楽しんでくれることは常に意識しています。サッカー以外のことでもいいなと思った情報はシェアしたり、私自身の考え方も知ってもらえたいいなとも思っています。

――Twitter企画を通して、実際の効果のほどはいかがだったのでしょうか?

今回の語学ツイートでフォロワーが400人ほど増えました!細々とやっていたのでびっくりしています(笑)。あとは実際にスタジアムや街中で私たちが紹介した言葉を使って外国人選手に話しかけてくれたら嬉しいなと思います!

――ありがとうございました。興味のある方はジュビロ磐田通訳グループのアカウントをフォローして、是非選手と交流してみて欲しいです。

フベロ監督

桑原徹分析担当

※ジュビロ磐田は他にも監督や分析官などもTwitterで発信していて、SNSに積極的なクラブです。是非こちらもご覧くださいませ。

通訳以上の通訳に ~鹿児島ユナイテッドFC・ダニーロ通訳~

2人目は鹿児島ユナイテッドFCのダニーロ通訳にお話を伺ってみたいと思います。

実はダニーロ通訳はTwitterアカウントを2つ使い分けており、通訳としての日常や考え方を発信するアカウントと、サッカー系のポルトガル語を発信するアカウントの2つを運用しています。

そんなダニーロ通訳の座右の銘は「通訳以上の通訳に」。仕事として決められた通訳業務以上に価値を出そうという気概が伝わります。

――ダニーロ通訳はコロナ禍より少し前からポルトガル語を学べるアカウントを作り、発信していました。その理由や効果というのはどんなものがあったのでしょうか?

Twitterでポルトガル語の紹介をしようとしたキッカケですね。鹿児島で仕事を始めてから、ずっと仕事中に持っていた通訳ノートに単語やフレーズを書いていたんです。それはアウトプットする事で自分の勉強にもなると考えたからです。

この仕事を始めたばかりの頃から比べると、ノートで整理していた単語やフレーズをTwitterでアウトプットするようになってから、咄嗟に通訳をする時でもすぐ言葉が出てくるようになったと感じています。

――ダニーロ氏は語学アカウント以外にも通訳の日常や想いを発信するTwitterアカウントも使い分けています。Twitterに比較的積極的になった理由はありますか?

そもそも通訳を含めたJリーグの裏方で働く人達のアカウントを見るのが好きだったのと、通訳の方はまだまだ発信している方も少なかったのというのもあって、通訳だからこそ発信出来る事や選手の素顔をもっと知ってもらいたいと思ったのが理由です。

――Twitterをしているとプラスもある反面、気を付けなければいけない事もあると思います。意識・注意している事はありますか?

去年までは選手の情報が漏れない事、プライベートは見せても見せ過ぎないよう注意していました。今年は、新型コロナウイルス感染予防対策に気をつけて3密にならないようにするなど気をつけています。そして最後にあくまでもクラブと選手が主役だと思っていますので、そこも意識しながら発信しています。

――そんな想いや意識があってのTwitterですが、特に反響や効果の大きかった投稿・エピソードを教えてください。

去年のFC岐阜さんとのホーム戦で決勝ゴールを決めたルカオ選手のInstagramの投稿を訳して発信した時の話になります。

色々な方々から「感動しました」「訳してくれてありがとうございます」と言って頂けました。

投稿では本人が自分のバックグラウンドも語っていたので、本人の了解を得た上で発信をしたわけですが、自分が訳することで選手がどんな葛藤があって日本という異国の中で批判や賞賛の狭間でプレーをしているかを色んな方々に伝える事が出来たのをすごく嬉しく思ったのを覚えています。この投稿は今でも自分の投稿の中では一番反響のあった投稿になっています。

――「通訳以上の通訳」とは?

自分の座右の銘にさせてもらっている言葉です。

今こうしてJリーグのクラブで通訳という役職を頂いて仕事をさせてもらっている訳ですが、この仕事をやっているからには、鹿児島に来る全てのブラジル人選手に気持ちよくプレーをしてもらいたい。そのためには日本という異国に早く慣れてもらわないといけないですし、鹿児島という土地も好きになって欲しい。

鹿児島ユナイテッドFCで活躍してもらうのが一番手っ取り早いとは思うのですが、そこで僕がしないといけないと思うのはただ通訳をするだけではなくて、時には父親のように厳しく時には兄弟のように選手に寄り添って鹿児島ユナイテッドFCというクラブと選手の架け橋になる事が大事だと思うんです。なので常に #通訳以上の通訳に という言葉を胸に通訳以上の通訳になる為に日々の仕事に取り組んでいます。

まとめ

今回は2人の通訳の方に焦点を当てて紹介させて頂きました。

勿論Twitterを活用している通訳は他にも沢山います。

両名と同じく語学紹介を行なっていた清水エスパルスのルイス通訳もフォローおすすめです。

語学紹介とは異なるジャンルですが、Noteを活用してご自身の子どもの頃の境遇から語ってくれている、ジェフユナイテッド千葉のファブリシオ通訳も色々背景が見れて面白いかも知れません。

お恥ずかしながらCMとなってしまいますが、筆者もコロナ禍中に4ヶ国語の語学学習用のTwitterアカウントをスタートしているのでご興味ありましたら覗いてみてください。

さて、そんなコロナ禍のJリーグですが、席数の制限等はありますが観客の入場が認められています。

9月2日の松本山雅FC戦は、岡山県在住の方はオリジナルユニホームシャツももらえるという事もあり、車椅子席以外は完売と、大人気となっております。

今月は、9日の東京ヴェルディ戦、13日のヴァンフォーレ甲府戦、そして23日のモンテディオ山形戦でも引き続きオリジナルユニフォームシャツをもらえますので、お早めにお求め頂きますように宜しくお願いします。

岡山県在住ではない方や、ファジアーノ岡山以外に応援するチームがある方は、DAZNでの試合観戦が盛り上がります!

リモートや自粛で運動不足な方は、明治安田生命Jリーグウォーキングアプリをお使いくださいませ!

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2020年のJリーグ、ここから怒涛の試合が続きます。

きっとドラマの連続になるでしょう。

みんなでJリーグを盛り上げ、来年の東京オリンピックにスポーツの火を繋ぎましょう!!

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