長崎県医師会 全産科医でPCR 妊婦に安心、院内感染防ぐ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長崎県医師会(森崎正幸会長)が進めているPCR検査体制の拡充について、県内の全ての産科医療機関で検査できる見通しとなったことが、4日分かった。県内全41カ所のうち、現在40カ所が対応しており、残る1カ所も準備中で近く実施可能となる。妊婦の不安解消に加え、医療従事者の感染防止につなげる狙い。
 県医師会は8月、地域のかかりつけ医の判断により、必要があればPCR検査を受け付けられるよう体制を整備。保健所を管轄する県、長崎、佐世保両市と委託検査の集合契約を結んだ。医師会所属の医療機関で、唾液の検体を採取し、長崎大学病院中央検査部などに搬送し検査している。
 分娩(ぶんべん)時には、いきみにより大量の飛沫(ひまつ)が出るなど、産科医療機関は感染リスクが高いとされる。全国的には妊婦の新型コロナ陽性患者も確認されており、予定日が近い患者は帝王切開で、出産時間を短縮するケースもあるという。
 県医師会所属の医療機関約1130カ所のうち、現在は1割程度の感染防御体制が整った医療機関でPCR検査が受けられる。ただ、PCR検査を受けられる医療機関については、風評被害や、受診者の急激な増加が懸念されるため非公表。長崎市とその周辺で始まったが、「どこで陽性患者が出てもおかしくない状況」(県医師会)として、今後も拡充を図る方針。
 森崎会長は「検査体制を充実させることにより早期発見、対応で感染拡大を防ぐことができる。患者の安心、院内での感染を防ぐ安全な医療を提供することを目指している。検査を受ける際にはマスクを着用し、発熱者は事前に電話をして来院してほしい」と話している。

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