川崎市のホームレス大幅減  前年比25%減、台風が影響か  多摩川沿いの区で顕著

川崎市役所

 川崎市内で暮らすホームレスの1月時点の人数が前年同時期比24.9%減と大きく減ったことが、市の調査で分かった。人数自体は2009年以降、右肩下がりを続けているが、減少率はおよそ10%前後で推移していた。大幅減の理由について、市生活保護・自立支援室は「昨秋の台風19号で、多摩川河川敷に住んでいた人が住まいを失ったため」と分析している。

 国の実態調査に基づき、市は1月9、10の両日、市内を巡回して目視で数えた。

 その結果、ホームレスは1月時点で計214人。前年同時期から71人減り、調査を開始した03年以降、過去最少となった。

 生活する場所や区ごとにみると、記録的な大雨を記録した台風19号の影響がうかがえる。

 生活する場所では、河川(70人)が82人減少し、公園(42人)も2人減った。一方で、道路(44人)、公共施設や駅前広場などのその他施設(同)、駅舎(14人)はそれぞれ2~7人増えた。

 区別では、川崎(108人)が11人減、中原(45人)が33人減、幸(23人)が12人減、高津(22人)が9人減、多摩(11人)が7人減、宮前(0人)が2人減と、多摩川沿いの区が軒並み減少。麻生区(5人)だけが3人増えた。

 市内のホームレスは03年の1038人をピークに減少し続けている。その理由について、市は06年度から開始した、宿所や食事を提供したり、生活や職業相談に応じたりする「自立支援センター事業」の効果を挙げる。

 今回の結果について、多摩川での炊き出しなど支援を続けているNPO法人「ふれんでぃ」(同市川崎区)の皆川智之理事は「台風通過後も、河川敷で再び生活する人は減っている」と指摘。「人間にとって住まいは最も大切なもの。市内に多くある空き家などを有効活用してほしい」と市に提言する。

 同室によると、河川から移動した人でセンターに入居したのは20人。「移動先が不明な人もいる」とし、「今後も根気強く声を掛け、一人でも多くの人を市の支援策へとつなげたい」としている。

© 株式会社神奈川新聞社