【インタビュー】東京都市大・坂井教授 市民の「日常使い」に着目を

「公園に人を呼ぶためにはファンをつくることが必要」と話す坂井教授(本人提供)

 建築・都市計画が専門で、各地のまちづくりや景観に関する審議会などで委員を務めてきた東京都市大の坂井文教授に、公園づくりの傾向や公園を観光に活用する際のポイントなどを聞いた。

 -近年の公園づくりで重視されている視点は何か。
 公園の魅力向上に向けて、にぎわいを創出する方向に大きくかじを切っている。2017年の都市公園法の改正で、民間事業者が公園に飲食店などの収益施設を設置しやすくした公募設置管理制度(Park-PFI)が創設されたこともその一例だ。
 -九十九島観光公園は施設の内容やターゲットが度々変わってきた。
 社会情勢が大きく急速に変化する中、計画変更は悪いことではない。ただ、レクリエーションの選択肢は増えており公園も選ばれる必要がある。利用者が何を求めているのかは考えなければならない。
 -新型コロナで観光を取り巻く環境が変化している。観光公園のコンテンツは見直しは必要か。
 観光が回復するには時間がかかるだろう。そこで市民の「日常使い」に着目してはどうか。今は健康に対する関心が高い。観光公園と俵ケ浦半島のトレイルコースはとても良い組み合わせで体験プログラムがあれば人は来る。日本の観光は、よそから人に来てもらうために大きなものをつくらなければいけないという感覚があるが、地域の生活を体験したい観光客もいる。この立地の公園に人を呼ぶにはファンが必要。そのためにはここならではのおもてなしがいる。この公園にどんな意味を持たせるのか見直しが必要だろう。
 -地域住民が公園を存分に活用するために求められる行政の姿勢は。
 住民に「自分たちの公園」という感覚を持ってもらうことが大事。それにはつくる過程に関わってもらうことが必要だ。公園を一緒に育てていけるとよい。

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