闘病の思い言葉に 俳句や短歌、日記代わり 茨城町の照沼さん、句集を自費出版

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病床で詠んだ俳句や短歌などを収めた「生かされて」を自費出版した照沼一美さん=水戸市内

茨城県スポーツ指導者協議会会長で、青少年育成茨城町民会議会長の照沼一美さん(80)=同町=が、闘病生活を経て詠んだ俳句や短歌、詩などを収めた句集「生かされて」(四六判、188ページ)を自費出版した。「小石を太平洋の海原に投げる気分で文字を並べた」と、自分流で句を詠む照沼さん。80歳と金婚式の節目に秀作をまとめた。

照沼さんは県土木部に勤務する傍ら、県クラブバレーボール連盟会長や表千家流教授を務めるなど、スポーツから文化まで活動は多岐にわたる。50歳ぐらいから日記代わりに俳句や短歌を詠み始めた。

そんな照沼さんを悪性リンパ腫が襲ったのは1997年2月、56歳のとき。入院し、抗がん剤の投与を受けた。半年間の治療で、髪が抜けたり、前立腺が肥大するなど、副作用や後遺症に悩まされる日々だったが、「内にこもってしまっては駄目になってしまう」と病院を抜け出し、3〜4時間、散歩するなどして、外の空気を吸い、句を詠み続けた。

励ましの見舞いに返事のはがきを書いているうちに「文章は起承転結が大切」と気付かされ、自分なりに句を詠むようになった。

「がん治療超えて七年柿実る」は2005年5月に闘病生活を振り返って詠んだ句。12年9月には「病室を抜け出し仰ぐ彗星(すいせい)は十五年ぶり今宵空見る」と詠んだ。また、13年11月に「老妻の誕生ケーキ持て余す三日後の夜固めをいただく」と妻への愛情を詠んだ歌など、句集は1995年からの創作を日付順に収めた。

青少年育成町民会議では毎年、小中学生を対象に「少年の主張作文」を募集し、照沼さんは講評を書き、起承転結の大切さを説いている。「子どもたちは将来を担う町の宝。大切に育てたい」と話している。

句集は町立図書館に寄贈した。