【高校野球】車で片道8時間かけて青森から家族総出で参加 弘前東・藤田が語った合同練習会の意義

5、6日に東日本エリアの「プロ志望高校生合同練習会」が行われた

前日朝に家を出て、車で片道8時間かかる長旅の末にこの日の練習会に参加した

プロ志望の高校球児がスカウトの前でアピールする「プロ志望高校生合同練習会」は5、6日の2日間をかけ東京ドームで行われ、東日本エリアの高校生計41名が参加した。最も遠方から参加したのが弘前東の藤田青空捕手。シートノックでは力強い二塁送球を披露し得意ではないとしていたバッティングでも柵越えを放った。

「肩に自信があるので、肩は誰にも負けないという気持ちでセカンド送球をアピールしました。バッティングは、夏の代替大会が終わってからこの日までずっと重点的に練習してきた。1球ですけど、スタンドに入ってくれたので嬉しかった。ふわふわしたような感じで、体が宙に浮いてるような感じ。すごく興奮しました」

4日の朝に家族の運転する車で家を出発し19時に東京に到着。片道8時間かかる道のりも家族総出で練習会に参加した裏には、地元・青森への強い思いがある。

「青森から離れたところに来てやったんですけど、みんなレベルが高い選手ばっかりだったので、その中でも自分のできるプレーをしっかりやっていこうと思って臨みました。外崎選手のような、青森の選手で日本を代表する選手はまだまだ少ない。自分がもっとプロに行って活躍して青森から自分みたいな選手になりたいという子どもたちが出るように頑張りたい」

東京ドームは修学旅行で巨人戦を1度観戦したきり。青森ではテレビ放送される機会も多くはない。だからこそ、自身がプロで活躍し故郷に恩返ししたい思いがあるという。長旅の末の練習会参加については「代替大会では100%のアピールができなかったので」と語った藤田だが「もし代替大会で後悔しないプレーができていたら? …わかりません。それでも参加していたのかなと思う」と率直な思いを口にする。それだけ、数多のスカウトが集う中央球界で地方出身者がプレーを見てもらうことの意義は大きい。

今後は、仮に指名がなくとも独立リーグからNPBへ這い上がる心づもりでいる。「絶対にプロになるという強い思いがある。すべてにおいてプロになるにはまだまだ実力が足りない。プロで首位打者になれるように練習をして、守備でも試合に出られるレベルにしていきたい」。コロナ禍での甲子園中止という前提があって実現した今回の練習会は、それ以上の価値を球児に提供している。(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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