岡山市で暴力団活動影潜める 特定抗争指定2カ月 情勢は流動化

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 山口組と神戸山口組の対立抗争を巡り、岡山市で5月に神戸山口組系池田組(同市)幹部が銃撃された事件を受け、岡山県公安委員会が山口組、神戸山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定して7日で2カ月。「警戒区域」となった岡山市では組織の活動が影を潜める一方、池田組を含む県内の神戸山口組系組織が同組から大量脱退したとの情報があり、情勢は流動化している。県警は規制逃れを狙った偽装脱退の可能性もあるとして当面は指定を維持し、警戒を強める方針だ。

 「組関係者の姿はすっかり見られなくなった。まさに平穏そのもので、指定の効果を感じます」。池田組事務所のある岡山市北区田町地区は県内最大の歓楽街。5月の銃撃事件は組事務所そばで発生しただけに、ある地元住民は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 警戒区域に指定された同市では、組員らは5人以上での集合や事務所への出入りなどが禁じられた。違反行為があれば警察が即逮捕することが可能となっており、これまでに違反は確認されていないという。

勢力図一変も

 2015年8月の山口組分裂以来、県内では全国的に劣勢とされる神戸山口組が優位に立ってきた。構成員も昨年末時点で神戸系が7割以上を占めるのに対して山口系は2割に満たない。ただ、今回の指定後、そうした勢力図が一変しかねない騒動が起きている。

 「諸般の事情に鑑み、神戸山口組を円満に脱退致しました」。7月下旬、池田組組長によるものとされる挨拶(あいさつ)状が会員制交流サイト(SNS)で一気に拡散された。その直前には、神戸山口組の中核組織である山健組(神戸市)が脱退を宣言し、これに県内の山健系の組織が軒並み追随する動きが出ているという。

 池田組を巡っては16年5月にも幹部が山口組系の元組員に銃撃され、幹部は死亡した。その際、神戸山口組内から報復するべきとの意見が出たものの、上層部に抑えられたとされる。「池田組はその時点で神戸山口組の運営に関わる意欲を失っていた。2度の幹部襲撃に山健組の離脱、さらに今回の指定で身動きが取れなくなり嫌気が差したとの見方はできる」。長年暴力団捜査に携わった県警OBは言う。

処分公表せず

 脱退が事実なら、池田組をはじめとする岡山市の神戸山口組系組織が規制対象から外れることになる。ただ、神戸山口組はこれらの組織に関する絶縁、除籍といった処分を公表しておらず、県警は情報の真偽や新たな対立抗争の可能性などを見極めるまで脱退の扱いとしない方針を決めた。

 そもそも、「池田組の脱退によって抗争のリスクがなくなるわけではない」とある捜査関係者。池田組は豊富な資金力で山口組分裂を主導したとされる経緯があり、山口組が攻撃の手を緩めるとは考えにくく、神戸山口組の後ろ盾がなくなったことでむしろ狙われやすい側面がある。脱退の報復として神戸側に襲撃される可能性もゼロではないという。

 情勢が混沌(こんとん)とする中、県警組織犯罪対策2課は「今後も動向を注視し、情報の収集に全力を挙げる」としている。

 特定抗争指定暴力団 暴力団対策法に基づき、各都道府県の公安委員会が対立抗争状態にある暴力団を指定し、活動を厳しく制限する措置。3カ月ごとに更新する。組事務所や幹部の居宅があり、抗争が特に懸念される市町村は「警戒区域」に定める。区域内では組員がおおむね5人以上集まることや事務所の使用などが禁じられ、違反すれば逮捕される。今年7月に従来の6府県に加えて岡山、鳥取、島根、愛媛県が山口組、神戸山口組を新たに指定し、警戒区域も岡山市など16市に拡大された。

発砲があった現場付近を調べる岡山県警の捜査員ら=5月30日、岡山市北区田町(写真の一部を加工しています)