『スペシャルズ!』政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 今の日本人にとって一番観るべき映画です

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 『最強のふたり』のエリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ監督が自閉症児たちのケア施設に人生を捧げ、政府が潰そうとした危機を救った2人の男たちの実話を描いたヒューマンドラマです。

 自閉症児をケアする施設「正義の声」を経営するブリュノ。どの施設からも断られた行き場のない重症児も断らずに受け入れる彼の施設は、朝から晩まで子供たちが大声を発したり、動き回っていたりと、目の回るような日々。そしてこの施設で働くのは、ケアワーカーのほか、ブリュノの友人のマリクがケアワーカーになるための教育をした元不良の行き場のない若者たち 

 映画では、独り立ちできるよう職業訓練を始めたジョゼフ、重度の自閉症で6箇所の施設から断られたヴァランタン、そしてケアワーカーを志しながら、心を開けず苦悩しているディランという3人の若者たちの成長も並行して描かれます。

 道を歩いていたり、ご飯を食べていたり、電車に乗っている時、あなたは他の人と少し違う行動をとっている人を見たことはないでしょうか? 私は、そういう人たちを見て眉をしかめたり、怖がって離れる人を東京でたくさん見てきました。問題児のディランも、まさにそんな目でヴァランタンを見ています。でも時間を過ごしていくにつれて、彼も少しずつ変わっていく。言葉は交わさなくても、二人の間に流れる空気が美しい映像とともにスクリーン越しに伝わって来るのです。

 映画を観ていると、ついこの二人って優しい人だなあって思うかもしれませんが、本当は彼ら自身がとても優しくて、透明な心を持っているのだと、美しい映像とともに気づかされます。ついついギスギスしてしまいがちな今だからこそ、多くの人たちにこの優しい映画を観てもらいたい。★★★★★(森田真帆)

9月11日から全国順次公開

監督:エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ

出演:バンサン・カッセル、レダ・カテブ

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