炎上しないための女性ビジュアル選びのポイントは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。8月28日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ゲッティイメージズジャパン代表の島本久美子さんが“女性のビジュアル”について述べました。

◆アウディの広告写真が炎上……

ドイツの自動車メーカー「アウディ」の広告写真に対し、SNS上で批判が殺到。それは車の前方部分にもたれかかった少女がバナナを食べている写真で、SNSでは「車の前に子どもを置くのは危険」、「バナナを持った少女が性的なものを連想させ挑発的」など批判が続出。アウディは「私たちは子どもたちのことを大事に思っている」、「無神経な画像を使用したことを心からお詫びする」と謝罪のツイートを掲載しました。

MCの堀潤は「見る人がそう思っているから、そう見えるんじゃないか……」と率直な感想を述べるも、最近は「どういったビジュアルを選ぶのか、みんな神経質になってきている」と島本さん。広告などを見て、56%の女性は「自分と同じような女性を見ることはなかなかない」と回答している一方で、リアルな女性をモデルに起用すると(広告などの)投資利益率がおよそ30%向上する、ブランドの好感度が上がるというデータがあると言います。

そこでゲッティイメージズではアメリカの広告業界団体「ANA」とビジュアル選びのチェックポイントを用意。そこには7つの項目があるなか、今回は「性別」と「体形」について紹介します。

「性別」に関しては、「過剰に偏見などを誇張していないか」、そして「立ち位置、力関係も男性が上位になっていないか」といった役割分担の問題に加え、ステレオタイプになっていないか、今や女性らしさも多様な形で表現されるだけに、それを取り入れているかなどが挙げられると島本さん。

一方で「体形」は、日本人女性の平均体重が54kgに対し、モデルは42kg。その辺りも意識してスリムな女性だけでなく幅広くモデルを採用し、さらには彼女たちの立ち位置も考えているか。あとは、ポジティブな形で採用されているかどうかも重要だとか。

◆デリケートな女性のビジュアル起用

また、「必要以上にセクシャルなことを連想させるものになっていないか」も大きな問題で、「特にアニメーションや漫画のキャラクターを採用する際に、日本でもよく目にする」と言います。また、デジタル加工が問題視されることも。例えば、フランスでは(モデルの)体形を加工した場合は明記する必要があるとか。そのため、ゲッティイメージズでも体形を加工したものは一切受け付けていないそうで、「そうでないとありえない足の長さなどにして、知らない人はそれを見てありえない体形を目指し、頑張って過食症になってしまうこともある」と危惧します。

昨年、ゲッティイメージズでは今風の職場環境で女性も多く写り、自然光を用いて撮影された、働いている女性の写真が最も売れたそう。

しかし、これを上記のチェックポイントに照らすと、実は男女の力関係も曖昧で「一般的な女性が見て、これが好感度の高い写真かどうかは、必ずしもそうとは言えないんじゃないか」と島本さん。そして、「採用する側に多様な人たちがいれば、アウディ(の広告)のようなことはない」と指摘しつつ、日本ではまだまだ男性が決定権を持っているだけに、「チェックポイントのような形で一度見直す必要がある」と訴えます。

元金融庁勤務で実業家の田中つかささんは、島本さんの言う通り「今後、ジェンダーやロールという部分は多様化していく」と推察。

かたやファッションデザイナーの渋谷ザニーさんはアウディの広告について、「なぜ(モデルを)女の子にする必要があったのか」、「なぜ車の前にいる必要があったのか」と疑問を呈し、「これは何がミスかと言えば、ディレクションのミス」と明言していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

© TOKYO MX