「吉田肉腫」未来技術遺産に 国立科学博物館、吉田富三博士(浅川出身)が発見

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 国立科学博物館は8日、未来に引き継ぐべき「重要科学技術史資料(愛称・未来技術遺産)」に、浅川町出身のがん研究者吉田富三博士が発見した「吉田肉腫」など16件を新たに選んだと発表した。

 吉田肉腫は吉田博士が長崎医大教授だった一九四三(昭和十八)年、ラットの腹水中に作り出した移植可能ながん細胞。吉田肉腫を用いることで、がんを細胞レベルで研究することが可能となり、抗がん薬研究に世界で初めて細胞生物学を導入した。

 国内初の抗がん薬「ナイトロミン」創製に使用されるなど、がんに対する化学療法発展に大きな影響を与えた。発見以来、移植や培養を繰り返し、現在でも、保管する東北大加齢医学研究所が各研究機関への提供を続けている。

 吉田富三顕彰会(浅川町)の内田宗寿会長は「吉田肉腫は大変偉大な発見。吉田博士は医師のあり方を説くなど、研究面以外でも医学界に大きく貢献した。その功績を伝え続けていく」と話した。

 このほか、「オートフォーカス機能」を本格的に備えた一眼レフカメラや、世界初の家庭用クオーツ掛け時計なども選ばれた。十五日に東京・上野の科学博物館で登録証が授与される。登録は計三百一件になる。

 県内からは二〇一四年、デジタルファクシミリ「OKIFAX7100」=所在地が福島市の沖データ福島事業所(現OKIデータMES)=が登録されている。