ダイナミック・ポルシェ、アクシデント多発のニュルで独走優勝/GTワールドチャレンジ第3戦

 GT3レースのトップカテゴリーとも呼ばれるGTワールドチャレンジ・ヨーロッパの2020年シーズン第3戦ニュルブルクリンク6時間レースが9月6日、ドイツ・ニュルブルクリンクのグランプリコースで行われ、ダイナミック・モータースポーツの54号車ポルシェ911 GT3 R(マッテオ・カイロリ/クリスチャン・エンゲルハート/スヴェン・ミューラー)が総合優勝を飾った。

 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ“エンデュランスカップ”の2戦目として行われた第3戦ニュル。決勝前日の5日に行われた予選は、GPXレーシングの40号車ポルシェ911 GT3 R(ロマン・デュマ/デニス・オルセン/トーマス・プライニング)がポールポジションを獲得し、2番手に54号車ポルシェ、エミール・フレイ・レーシングの163号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボが3番手につけた。
 
 迎えた決勝、レースはスタート直後の1コーナーで起こった40号車ポルシェと163号車ランボルギーニの接触に端を発する前者のスピンにより、後続車がこれに巻き込まれるマルチクラッシュが発生。最初に接触した2台はいずれも優勝争いから退くこととなってしまう。

 このアクシデントのため、レースは1周目からセーフティカー(SC)が導入されることになった。リスタート後、2番手から総合首位に躍り出た54号車ポルシェが後続を引き離す展開となるが、レース中盤にふたたびSCが介入。これによりダイナミック・モータースポーツが築いたギャップが失われると同時に、ピットタイミングの関係で2番手につけていたAKKA ASPの88号車メルセデスAMG GT3に逆転を許してしまう。
 
 しかしSCがコースから退くと、エンゲルハート駆る40号車ポルシェが88号車メルセデスを猛追。そしてターン2でアウト側からこれを交わし、ふたたび首位に返り咲くことに成功する。
 
 その後、2番手以下に対して再度充分なマージンを築いたダイナミックのポルシェは、5時間目に導入されたSC後にベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの32号車アウディR8 LMSに迫られるも、アウディがピットイン時の“アンセーフリリース”でドライブスルーペナルティを受けたことでみたび独走態勢に。アンカーを務めたミューラーがそのままトップチェッカーを受け、チームは母国ドイツで今季エンデュランスカップの初優勝を挙げた。
 
 一時はレースをリードした88号車メルセデスがトップと約14秒差の総合2位でフィニッシュ。総合3位はフバート・ハウプトが今シーズン新たに立ち上げたHRT(ハウプト・レーシング・チーム)の4号車メルセデスAMG GT3が入っている。

 シルバーカップではガレージ59の159号車アストンマーティン・バンテージGT3(ジェームス・プル/バレンティン・ハーゼ・クロット/アンドリュー・ワトソン)が、バーウェル・モータースポーツの78号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボを僅差で破って勝利を飾った。プロ・アマクラスは、日本人ドライバーの濱口弘を擁するオレンジ1・FFFレーシングチームの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボが、クラス2位のマシンに15秒の差をつけてウイナーとなっている。

 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの次戦・第4戦はフランス、マニクールが舞台だ。9月11~13日に行われる同レースは“スプリントカップ”の2戦目となり、12日と13日にそれぞれ60分のスプリントレースが予定されている。

GTワールドチャレンジ第3戦ニュルブルクリンク6時間のトップチェッカーを受ける、ダイナミック・モータースポーツの54号車ポルシェ911 GT3 R
優勝したダイナミック・モータースポーツの
AKKA ASPの88号車メルセデスAMG GT3
ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの32号車アウディR8 LMS
ポールポジションからスタートするも1コーナーで接触されスピン。勝負権を失ったGPXレーシングの40号車ポルシェ911 GT3 R
濱口弘がドライブするオレンジ1・FFFレーシングの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ
ガレージ59の159号車アストンマーティン・バンテージGT3

© 株式会社三栄