伊勢谷容疑者逮捕…薬物事件相次ぐ芸能界

国内、19年の大麻摘発者数は過去最多

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伊勢谷友介容疑者

 俳優の伊勢谷友介容疑者が自宅で大麻を所持したとして大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕された。認否を含め詳細はいまだ明らかになっていないものの、発信力のある著名人の薬物疑惑が広げる波紋は小さくない。昨年からは特に世間を騒がせる事件が相次いでおり、芸能界の薬物汚染の根深さを示している。(47NEWS編集部)

 伊勢谷容疑者は東京都出身で東京芸術大在学中に俳優デビューし、「あしたのジョー」「翔んで埼玉」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」「花燃ゆ」など多数の作品で活躍。東京都が芸術やスポーツなどの分野で活躍する若手と意見交換するために2017年に設置した「東京未来ビジョン懇談会」のメンバーも務めていた。所属事務所は、事実関係は確認中とし「このような事態が生じましたことは誠に遺憾なこと。まずは深くおわび申し上げます」とのコメントを発表した。

 俳優や音楽家による薬物事件は毎年のように起きているが、昨年以降、その頻度が高まっている。

 19年3月にはミュージシャンで俳優のピエール瀧さんがコカインを摂取した疑いで逮捕された。数々の映画やドラマに出演し、存在感が増すばかりだった個性派俳優の事件に衝撃が走った。その後、懲役1年6月、執行猶予3年の東京地裁判決が確定した。

保釈され、東京湾岸署前で頭を下げるピエール瀧さん=19年4月

 アイドルグループ「KAT―TUN」元メンバー田口淳之介さんが大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕されたのは5月。同居していた元女優の小嶺麗奈さんとともに起訴され、それぞれ懲役6月、執行猶予2年の判決が言い渡された。

 11月に入ると、女優の沢尻エリカさんが自宅マンションで合成麻薬MDMAを所持したとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕された(その後、懲役1年6月、執行猶予3年の判決が確定)。そして今年2月、シンガー・ソングライター槙原敬之さんが違法薬物を所持したとして、覚醒剤取締法違反(所持)などの容疑で逮捕された。8月に懲役2年、執行猶予3年の判決を受けた槙原さんは、99年8月にも同容疑で逮捕され有罪判決を受けていた。

保釈され、東京湾岸署を後にする槙原敬之さん(左)=3月

 薬物を根絶するための取り組みは、芸能界でも進めてきた。きっかけは2009年、アイドルとして人気を集めた女優の酒井法子さんが覚醒剤取締法違反(所持)容疑で逮捕されたこと。タレントの所属事務所などが加盟する業界団体は事態を重く受け止め、警視庁などと意見交換。芸能人の管理教育指針などを提示していた。しかし、上に列挙したように結果は伴っていない。

酒井法子さんの判決公判で、傍聴券を求めて列をつくる人たち=09年11月、東京・日比谷公園

 芸能界だけに着目すると増加しているように見える薬物事件。ただ国内全体をみると、摘発者数という点では減少に転じている。

 厚生労働省が公表している薬物情勢統計によると、19年の薬物関係の摘発者数は1万3860人(同3・2%減)と2年ぶりに減少。うち、覚醒剤事件の摘発者数は8730人(同13・0%減)と44年ぶりに1万人を下回った。

 しかし、大麻の摘発者数は4570人(同21・5%増)と6年連続で増え、過去最多を更新。うち2622人が30歳未満の若者で高校生も110人含まれていた。警察など、取り締まり側は「一罰百戒」の意味を込めて著名人の捜査に力を入れているとみられる。その効果はいかばかりなのだろうか。