「洋菓子風の創作かき氷」が話題に! 世界の料理学ぶ若手料理人が提供

創作かき氷「ジンジャーみるくと黒蜜きなこ」を手にする松本さん=島原市有明町

 長崎県島原市有明町の農産物直売所「舞岳の里」に隣接するビニールハウスで、スペインなど海外で修業し一時帰国中の若手料理人、松本知之さん(24)=同市長貫町=が期間限定で、かき氷店「松本農園製冰(せいひょう)所」を開いている。パティシエ経験を生かした洋菓子風の創作かき氷は口コミなどで評判を呼び、連日売り切れる盛況ぶり。今月末まで。
 松本さんは県立島原農業高を卒業後、東京の調理師専門学校で学び、人気洋菓子店やフレンチレストランで勤務。「将来は自分の店で驚く料理を出し、お客さんの感情を動かしたい」との思いを胸に、2019年1月から1年間、スペイン北部バスク地方にあるサン・セバスティアンに渡り、世界的に有名なミシュランの星付き創作料理店「ムガリッツ」で腕を磨いた。
 ムガリッツでは、化学反応させた球状のゲルに生きた小魚を閉じ込めた躍り食い料理など、前衛的な調理法を学んだ。今年2月にタイに移り、現地の伝統料理とフレンチを融合した創作料理を提供する店で働き、その土地土地に合った技法に触れた。
 3月に1カ月間の休暇予定で帰国したが、新型コロナウイルスの影響でタイに再入国できなくなり、労働契約を解消。実家のショウガ農家で作業を手伝う中、母親から「かき氷店をやったら」と助言され、7月にオープンした。
 メニューは日替わりで4、5種類(各500円)。実家で作るショウガシロップを使い、ショウガの風味とコクのある黒蜜の甘さが楽しめる定番品「ジンジャーみるくと黒蜜きなこ」のほか、果物などをトッピングした「イチジクとクリームチーズ」など洋菓子店のケーキをコンセプトにしたかき氷を提供する。
 松本さんは10月から台湾のレストランで働く予定。欧州修業も再度希望し、3年後には多文化を織り交ぜた前衛的フレンチを提供する予約制レストランの開業を目指す。かき氷店の経営で「料理に加え、接客といった人とのやりとりが好きになった。『おいしい』の一言がうれしい」と話す。
 営業時間は午前10時~午後2時ごろ。不定休。

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