軍艦島「30号棟」一部崩落 台風10号 世界遺産、史跡に爪痕

新たに梁の一部(赤丸で囲んだ部分)が崩落した30号棟(長崎市提供)

 台風10号に伴い、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を構成する「端島炭坑」(軍艦島)に残る国内最古の鉄筋コンクリート造アパート「30号棟」の梁(はり)の一部が新たに崩落した。採炭関連施設「貯炭ベルトコンベア」の支柱1基の一部も折れた。現地調査した長崎市が9日に発表した。
 30号棟(7階建て)は3月以降、外壁や梁の崩落が進み、今回新たに3~4階の間の梁(幅約2.2メートル)が壊れた。貯炭ベルトコンベアの支柱は現存する8基のうち1基(高さ約6メートル)の一部が折れた。ドルフィン桟橋や見学広場で新たな被害は確認されなかった。
 市は、採炭施設や明治期に造られた護岸などを優先して修復する方針。大正期の30号棟は修復が困難なほど劣化しているが「現時点で建物全体に大きな傾きはなく、倒壊に至る状況ではない」(市世界遺産室)。
 軍艦島は台風9号、10号に伴い8月下旬から上陸禁止が続いている。9号では護岸や見学施設の一部が壊れた。今後、復旧作業を進める。上陸再開の時期は未定。

台風10号の影響で一部が折れた「貯炭ベルトコンベア」の支柱=長崎市、端島(市提供)

© 株式会社長崎新聞社