コロナ禍での春学期 関西大学の教職員、学生が振り返って総括

関西大学では、2020年度春学期に行った遠隔授業について、教員・職員・学生の3つの立場から総括し、教育開発支援センターが発行する「ニューズレター特別号」に掲載した。遠隔授業の実践報告のほか、教員・学生双方からの苦労話、「なんでもオンライン相談」を行った授業支援ステューデントアシスタントからの報告なども紹介している。

関西大学で対面授業に代わる遠隔授業を本格的に開始したのは2020年4月20日から。遠隔授業に必要なシステムや学習環境の整備はもとより、教育の質保証を目的とした教員対象のFD研修・相談会(日本語・英語)も全21回(4月1日~7月3日)にわたって実施し、延べ764人の教員が利用した。

実際に遠隔授業を体験した学生からは、「自分の好きなタイミングで受講できる点は良かった」「移動時間がないので、空いた時間を有効活用できた」「同じ講義を繰り返し聞ける点が深い学びにつながる」といったメリットが挙げられた一方、「講義資料の印刷などの負担が大きい」「対面授業と比べ、課題の量が膨大である」「ネットワーク環境が不安定」などの問題点も寄せられた。

教員からは、「リアルタイム講義では、学生の緊張感とモチベーションを高く維持できる」「Zoomの投票とチャット機能を使うことで、学生の理解傾向の把握がしやすく、従来よりも積極的な授業参加の形も見えてきた」「遠隔授業の経験やノウハウを共有し、普段あまり機会のない他学部の先生との議論の場があったことで、自身の貴重な学びにもなった」「自身の講義を客観的にみることで授業の質向上に生かせられる」など、対面授業とは違う利点も聞かれた。

職員からは、「遠隔授業の実施に伴い、教員および新入生を中心に、操作方法等の問い合わせが多い日で1日200件以上寄せられた」「自宅にプリンターがなく、遠隔授業の受講やレポート作成等に支障が生じている学生に対して、大学では、主要コンビニエンスストアで遠隔授業にかかわる講義資料等を印刷できる「関大コンビニプリント」のサービス(300枚まで学生個人負担なし)を準備した」「問い合わせ数を減らす工夫として、各サービスの利用方法など、教員・学生向けに分けたマニュアルを掲載した遠隔授業特設ホームページの開設は必須であり、公開が遅くなったことや多言語対応が取れていないことが課題と感じた」など、運営面での取り組みや課題が報告された。

また、授業支援SAが中心となって対応するオンライン形式の学生相談「なんでもオンライン相談」は、6月8日~7月22日まで行われ、新入生からの勉強や友達づくりに関する悩みなど789件の相談が寄せられ、先輩学生たちが親身に対応した。

※関西大学における遠隔授業の主な形態

学習支援システム「関大LMS(Learning Management System)」をベースに、約半数の割合で①Zoom等を活用したリアルタイム遠隔授業を実施。その他半数は、②講義動画等の視聴により学ぶオンデマンド配信授業や ③教材配付型授業等を組み合わせて実施した。

参考:【関西大学】■…“繋がらぬ ネット回線 人づきあい”…■2020 年度春学期 遠隔授業を総括~ コロナ禍での授業を、教員、学生、職員それぞれの立場から報告 ~~(PDF)

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