デスク日誌(9/10):僕は嫌だ

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 読み返せ、と言われた気がした。

 沢木耕太郎さんの「バーボン・ストリート」(新潮文庫、1989年)。ザラリ、と心に触れた。

 自身のニュース番組が終わるに当たり、筑紫哲也さんが「若者が見てくれるような番組を作っていこうと引き受けた」と語る場面。

 もう一つは、映画「日曜はダメよ」で知られるメリナ・メルクーリさん。故郷ギリシャに軍事政権が誕生すると、それに抗して闘い抜いたという逸話だ。

 ああ、そうか。

 香港の民主活動家、周庭さん(23)が香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕後に釈放された際、日本のアイドルグループ、欅坂46の「不協和音」が頭に浮かんだと話していた。

 同調圧力に負けず、自らの意志を貫く強さを歌う曲だ。メンバーがこう叫ぶ。

 「僕は嫌だ」

 仲間からも撃たれると思わなかった、という詞も痛い。取り締まる警察だって香港人だ。周庭さんの悲しみと怒りが、そこにある。

 国安法は香港の外に住む外国人にも及ぶ。日本の若者よ、どう考えますか。

 そう書け、と沢木さんの本は言ったように思う。 (気仙沼総局長 村上朋弘)