社説[合流新党代表に枝野氏]明確な対立軸打ち出せ

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 立憲民主、国民民主両党などでつくる合流新党のかじ取り役に立民の枝野幸男代表が選ばれた。新党に参加する国会議員らによる投票で、立候補した国民の泉健太政調会長を大きく引き離し当選した。

 新党名は枝野氏が提案した「立憲民主党」に決まった。

 枝野氏は「ここから本当の戦いが始まる。国民の選択肢となる」と述べ、政権交代を目指す決意を表明した。野党第1党の運営を担う責任は重い。

 代表選で枝野氏は、消費税減税や新型コロナウイルス感染拡大で重要性が増した医療や介護、保育などサービスの充実、多様性を認め合う共生社会の実現などを主張してきた。

 野党勢力の結集を政権奪還に向けた受け皿として機能させるためには、これらの主張のほか、経済、外交などの主要政策を有権者に示し、与党への対立軸をより明確にすることが求められる。

 そのためには、党運営の手腕も問われる。

 旧民主党政権の終了後、離合集散を繰り返したことで、有権者の政治不信を招いた。安倍政権下で「1強多弱」を許した責任もある。こうした反省を踏まえ、党内の多様な意見を吸い上げるとともに、党内結束を図る統率力を発揮してほしい。

 国会ではこれまで、森友学園への国有地売却問題や「桜を見る会」など安倍政権下の疑惑を追及してきた。疑惑の追及はもちろん必要だが、新党には政策論争を深め、政権奪還に向けた将来像を国民に示す役割がある。

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 枝野氏は、名護市辺野古の新基地建設について、9日の公開討論会で「新基地を造らず、普天間飛行場の危険性を除去することは可能」と述べ、米側と協議する考えを示した。

 現政権と違って民意を反映させる姿勢を示した。

 普天間飛行場の返還は1996年の日米合意から24年たっても実現していない。軟弱地盤の改良工事で、工期は当初の8年から12年に延び、返還は2030年代半ばにずれ込む。国の言う「一日も早い普天間の危険性の除去」はすでに破綻している。

 枝野氏は、米国との丁寧な交渉で工事を止めることは可能とする。ただ、工事の即時中止は困難視し、「即時交渉に入ることが責任ある態度だ」と述べている。

 対米交渉に意欲を見せるが、具体策は示していない。姿勢だけではなく、沖縄の民意に正面から向き合い、解決への道筋を示すべきだ。

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 新型コロナによる経済格差拡大をはじめ暮らしを取り巻く問題への対応など、国会での野党の役割は増している。

 野党には少数意見を吸い上げ、多数派の行き過ぎをチェックすることも求められる。民主主義を健全に機能させるためにも監視役を十分に果たしてほしい。

 早期の解散総選挙が取り沙汰される。新「立憲民主党」を有権者にどう分かりやすく示していくか。新党に不参加の議員や野党間の連携も必要だ。野党第1党としての真価が問われる。