ロシアから沖縄まで泳いだクジラ どこを通ってきた?

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北海道の釧路沖でも見つかったザトウクジラの個体=座間味島沖合(沖縄美ら島財団提供)

 【本部】沖縄美ら島財団総合研究センター(本部町)は10日、西部北太平洋海域に生息しているザトウクジラが、ロシアから沖縄、フィリピンの各海域へ南下していく中で、北海道の太平洋沿岸を経由している可能性があると発表した。

 沖縄周辺と北海道の釧路沖で撮影された写真を基に、同一個体を初めて確認した。同センターは「同種の回遊経路を解明する上で大変貴重な発見」としている。

 同センター動物研究室研究員の小林希実さんと岡部晴菜さんが北海道大学と共同研究し、今年7月に日本哺乳類学会の学術誌「哺乳類科学」に掲載された。

 ザトウクジラは夏にロシア周辺海域で餌を食べ、冬に沖縄やフィリピンの近海で繁殖する。同財団は1991年から、沖縄周辺海域に回遊してくる個体を調査してきた。同種は尾びれの模様や形で個体の識別が可能で、これまでにロシア-沖縄間で計69、フィリピン-沖縄間で計100の同一個体を確認している。

 今回は、2018年10月15日に北海道大学の調査船が釧路沖で撮影した5頭の尾びれ写真と、同財団が沖縄近海で集めた尾びれ写真を照合した結果、うち1頭が約3200キロ離れた沖縄の慶良間諸島周辺などで過去3回確認された個体と同一であることが判明した。

 研究した小林さんは「ザトウクジラの回遊経路は不明な点が多く、日本全体の回遊状況の把握を目指す。ホエールウオッチングの対象として、観光資源でもある同種の管理や保全などに役立つ」と説明した。

ザトウクジラの西部北太平洋海域の回遊図