歴文博「くんち三八六年展」 長崎刺繡の傘鉾の垂れなど資料70点

長崎くんちの歴史や魅力を伝える「くんち三八六年展」=長崎市、長崎歴史文化博物館

 長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館3階展示室で「くんち三八六年展」が開かれている。同展は毎年開催し、例年その年の踊町に焦点を当て、長崎くんちの歴史や魅力を伝えている。今年は新型コロナウイルスの影響で奉納踊りなどが中止になったため、くんちを描いたびょうぶ絵や傘鉾(かさぼこ)の垂(た)れ、古文書など幅広い資料約70点が並ぶ。10月11日まで。
 「諏訪町傘鉾垂・下絵」は市有形文化財。諏訪町の傘鉾の垂れと、その下絵を展示している。傘鉾は各町のシンボルで、垂れは下部を覆う布。諏訪町の垂れは横6メートル弱、縦約1.8メートルで、町名にちなんで諏訪大社の鳥居と諏訪湖の御神(おみ)渡り、松、白狐などが長崎刺繡(しゅう)で表現されている。
 傘鉾関係の資料は他に、西浜町の傘鉾の垂れの下絵「姑蘇十八景図」を展示。下絵は中国・蘇州(そしゅう)の名勝十八景を江戸期の長崎の画家が描き、来舶清人が題字を添えている。
 また今年の奉納踊りが中止になったことを受け、過去に中止や延期になった事例を、古文書や当時の新聞記事から紹介。震災や疫病流行のほか、くんち見物が恒例だった長崎奉行の赴任の遅れや、外国船の来航などによっても日程変更をしている様子が分かる。
 同館の担当者は「傘鉾一つをとっても、各町の熱い思いや、いろいろな人の関わりが分かる。展示を通して来年のくんちへの期待を膨らませてほしい」と話した。

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