コロナ懸念で修学旅行キャンセル続出 9月だけで6000人分 長崎

新型コロナの感染拡大への懸念から修学旅行のキャンセルが相次いでいる=長崎市内のホテル

 長崎県内を訪れる修学旅行のキャンセルが相次いでいる。新型コロナウイルスの感染で日程を春から秋に延期するなどしていた学校も、さらなる感染拡大への懸念から訪問を回避。長崎市内の大手ホテルは9月だけで約6千人分の予約が取り消された。書き入れ時の秋シーズンを迎え、関係者は「長引けば事業の継続が危ぶまれかねない」と危機感を募らせる。
 今月、同市の観光名所、大浦天主堂やグラバー園に続く坂道は修学旅行生の姿がまばらだった。通りに面する土産店の女性従業員は「こんなに少ないのは約20年勤めて初めて」と話す。
 修学旅行客の減少はホテル業界を直撃している。年間約4万2千人を受け入れ、売り上げの約3割を占める同市の稲佐山観光ホテルは、4~6月に入っていた約120校分の予約がすべて延期か取り消しに。秋こそは、と願ったがキャンセルが止まらず、9月に宿泊予定だった約6千人分の予約が消えた。「夏を過ぎたら落ち着いてくると思っていたが…」。松尾弘二営業本部長は長引く影響に困惑の表情を浮かべる。
 1団体の宿泊者数が多い修学旅行のキャンセルはホテルにとって痛手だ。1年以上前から予約を受け、キャンセルは直前。加えて国の「Go To トラベル」の効果は限定的で、別のホテルの担当者は「団体客も個人客もほとんど動かず、空いた部屋を埋めるのはほぼできない」と損失の大きさを嘆く。
 回復の兆しが見えた時期もあった。県観光連盟によると、春に感染者が目立った関東、関西や海外を避け、秋以降に本県行きを計画する学校が増加。来年3月までの予約数は前年比で約7万5千人増えていた(8月末時点)。
 だが、全国に感染が広がり事態は一変。来県を予定した学校で集団感染が起こったり、学校の近県に変更したりしてキャンセルが発生。実績は例年より大幅に下がる見通しだ。
 新型コロナの収束が見通せず、関係者からは影響の長期化を懸念する声が上がる。市旅館ホテル連合会の塚島宏明理事は「日々予約が取り消されているが、キャンセル料を請求しづらい。行政がキャンセル料の一部負担するなどの支援をしてほしい」と対応を求めている。

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