キャリア最高の一発 モリーナがクレメンテに捧げるホームラン

一塁ベースの手前で小躍りした姿が、その喜びの大きさを象徴していた。日本時間9月11日のタイガース戦、ロベルト・クレメンテに敬意を表して背番号「21」のユニフォームでプレーしたヤディアー・モリーナ(カージナルス)は、2回裏の第1打席でレフトスタンドの最前列へ飛び込む3号先制2ラン。この一発がキャリアのどの位置にランクするかを尋ねられたモリーナは「一番上だよ」と答え、キャリア最高の一発を喜んだ。

メジャーリーグでは日本時間9月10日にロベルト・クレメンテ・デーが開催され、プエルトリコ出身の選手たちが「21」を着用してプレーしたが、カージナルスは試合がなかった。そのため、モリーナは1日遅れで「21」を着用。「良い試合をして勝ちたいと思っていた。でも、それと同時に、何か特別なことをしたいと思っていた」と語ったモリーナは、第1打席で見事に本塁打を放ち、「ただただ幸せだし、あの瞬間に感謝している。本当に光栄だよ」と喜びを爆発させた。

本塁打を放ったモリーナは、一塁ベースの手前で小躍りし、嬉しそうにベースを一周。ホームインする直前には右袖に付けられた「21」のパッチにキスをし、ホームインの直後には右腕を天に掲げた。若きエースのジャック・フラハティが「彼はそれほど頻繁に感情を表に出す選手じゃないと思っていた。でも、彼はとても興奮していたし、それを目にするのは楽しかったよ」と語るほど、モリーナの全身からその喜びの大きさが伝わってきた。

ラテンアメリカ人の選手たちにとってクレメンテは最大のアイドルの1人であり、クレメンテに憧れてメジャーリーグの舞台を目指した選手も少なくない。モリーナも例外ではなく、「クレメンテは信じられないくらいに素晴らしい男だ。もちろん、フィールド上での活躍はみんなが知っている。でも、フィールド外でも人々を助ける活動に取り組んでいた。プエルトリコだけでなく、他のラテンアメリカの国々も支援していたんだ。彼からたくさんのことを学ぶことができる」と熱弁する。モリーナはクレメンテの影響もあって慈善活動に積極的に取り組み、2018年にはロベルト・クレメンテ賞を受賞している。

この一発が通算158号となり、ジョニー・マイズを抜いて球団歴代10位に浮上したモリーナにとって、クレメンテに捧げたこの一発はキャリア最高の本塁打となった。名捕手・モリーナの活躍もあり、カージナルスはダブルヘッダー第1試合に12対2で大勝。ただし、モリーナが欠場した第2試合ではリリーフ陣が崩れ、3対6で逆転負けを喫した。

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