WTCR:ルノー、アルファロメオに開幕ワイルドカード。オキーフとフィリピの2名が参戦

 9月12~13日の週末に迫った2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップ開幕ラウンド、ベルギーのゾルダー戦に向けワイルドカード枠で参戦するドライバー2名がアナウンスされ、TCRオーストラリアのフロントランナー、ディラン・オキーフがルノー・メガーヌR.S.TCRで、ルカ・フィリピがアルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCRで世界戦デビューを果たすことが決まった。

 地元で2年目を迎えるTCRオーストラリア・シリーズに向け、強豪Garry Rogers Motorsport(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/GRM)との契約を延長したオキーフは、同選手権で今季からスイッチを予定するVuković Motorsport製のルノーをドライブし、同国の大先輩デイビッド・ブラバム以来となるツーリングカー世界戦に挑むこととなった。

「まだ我々みんなが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に苦しんでいることを思えば、このWTCRでのドライブが具現化することは奇跡みたいなものだ。2020年にドライブする予定だったルノーとともに、この機会を与えてくれたGRMチームに心から感謝したい」と語ったオキーフ。

「もちろん、100%のターゲットはTCRオーストラリアにあるが、シリーズはまだ10月まで再開の見込みが立っていないんだ」と続けたオキーフは、先月にもオーストリアに飛び、直前までWTCR開幕戦の会場とされていたザルツブルクリンクでのテストを実施していた。

「テストは非常に順調で、ハンドリングバランスを改善するという目標をクリアできた。午前はウエット、午後はドライと、コンディションの異なる条件も試すことができたんだ。お陰であらゆるシチュエーションでのメガーヌR.S.TCRのバランスを確認するのに役立ったよ」

強豪Garry Rogers Motorsport(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/GRM)との契約を延長したオキーフが、いよいよ世界戦参戦へ
今回オキーフは、フルシーズンエントリーを発表しているVuković Motorsportのジャック・ヤングのチームメイトを務める

■アルファロメオの戦闘力に「大いに期待している」とフィリピ

 すでにフルシーズンエントリーを発表しているVuković Motorsportのジャック・ヤングのチームメイトを務めるオキーフに対し、2019年はTCRヨーロッパにも参戦したイタリア出身のルカ・フィリピは、Team Mulsanneにジョイントしてジャン-カール・ベルネイとともにアルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCRのステアリングを握る。

「難しい条件の2020年シーズンだが、こうしてWTCRのキックオフ・ラウンドに参加できて本当にうれしいよ」と喜びを語った35歳のフィリピ。かつてはGP2やインディカーなどにも参戦し、昨季はBRC Racingのヒュンダイi30 N TCRをドライブしたフィリピだが、アルファロメオの戦闘力に「大いに期待している」と続ける。

「このTCR規定ツーリングカーが、僕のモータースポーツキャリアで初の前輪駆動レースカーだったが、自分のスタイルに対してとても良い感触を覚えた。数少ないレース経験だけど、僕の前を走っていたロメオ・フェラーリ製ジュリエッタのパフォーマンスにも感銘を受けていたんだ」とフィリピ。

 そのロメオ・フェラーリのオペレーション・マネージャーを務め、自らもTCRドライバーとして戦った経歴を持つ、Team Mulsanne代表のミケーラ・セルッティは、今回ワイルドカードで起用したフィリピが「今後も順調にキャリアを積み上げていくと確信している」と期待を寄せた。

「フィリピを私たちファミリーに迎え入れることができて喜んでいる。こうしてイタリア人ドライバーが私たちのマシンをドライブしてくれるのも最高ね。ジャン-カールとともに、素晴らしい経験を有するふたりのドライバーにより、圧縮されたカレンダーを戦う大いなる武器になるでしょう」

シングルシーターでキャリアを重ねてきたルカ・フィリピは、2019年にBRC RacingからTCRヨーロッパに参戦した
ジャン-カール・ベルネイに続き、ルカ・フィリピ起用を決めたTeam Mulsanneの代表のミケーラ・セルッティ

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