もう一つのウイルス

 新型コロナ対策の「新しい生活様式」で、リモート(遠隔)での会議やインターネット上の買い物など、パソコンに向き合う時間が増えた。だが、ネットが手放せなくなった生活を「もう一つのウイルス」が狙っている▲企業などがコンピューターウイルスの攻撃を受け、顧客情報を盗まれる事件が相次いでいる。先月には、在宅で働く社員らが社内のシステムにつながる際に必要な認証情報が流出した。盗まれた情報は、闇の市場で売買されるらしい。大量の個人情報を“人質”に企業が身代金を要求される手口まであるようだ▲県立大には2016年4月、全国に先駆けて情報セキュリティ学科ができた。加藤雅彦学長補佐(同学科教授)によれば、情報セキュリティーとは、家の「鍵」のようなものという▲学生は攻撃や防御の方法について、実際の機器も使って学んでいる。この春卒業した1期生は、大手のIT企業などに就職が決まった▲来春には学科の定員を現在の倍の80人に増やす。学生とIT企業が、情報を守る仕組みを考える「共同研究センター」も23年度につくられる▲個人情報の価値が高くなるとともに、それを盗み取ろうとする側も、被害を防ぐ側も“進化”を続けている。本県から巣立った人材が活躍する出番はさらに増えていくに違いない。(明)

 


© 株式会社長崎新聞社